工場内の各部門の役割ついて半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。
「ものをつくる」だけが工場の仕事ではない
「いや、ものをつくるのが工場の仕事でしょ!」
確かにそうなんですが、機械で加工したり、工具でネジ締めするだけが工場の仕事ではないよということです。
「ものづくりとは」のとらえ方次第ですね。
例えば、加工する機械やネジ締めで使う工具は誰が選定してどのように用意するのでしょうか。
工作機械なんて数万から数千万円するものまであるんですから、何でも良いという訳にはいきません。
また、ものをつくるための人員配置や教育など「人」や「環境」に関わる部分もどうしているのでしょうか…
そう考えてみると、工場でものをつくるためは、様々な分野から整備していく必要があるでしょう。
このように、工場で直接ものを組んだり加工したりはしないけど、生産するために間接的な業務を行う部門を工場間接部門と呼んだります。
間接部門がしっかりしていないと、どんなに腕の良い職人さんが揃っても工場で良いものづくりはできません。
主な工場間接部門の紹介
「工場の間接部門って具体的にどんなことするの?」
「製造以外どんな部署があるのか知りたい!」
工場勤務を検討されている方や機械メーカー勤務だけど工場と接する機会が普段ない方はぜひ知っておきたいですよね。
ここでは、ものづくりの工程を間接的にフォローする部門を簡単に紹介していきます。
私の勤務先である工場を例に解説するので、細かい部分は他の会社と異なるかもしれません。
工場の部署を知って、ものづくりにおける工場の役割を理解していきましょう。
品質保証
品質保証(品証)は、工場で生産した製品が自社の定める仕様を満たす品質かどうかを確認したり、市場へ流れた後も品質の保証を行うとても重要な部門となります。
製品知識はもちろん、製品を保証するためにどんな検査が必要なのかを熟知する必要があるので、けっこう専門的な知識も必要となるかもしれません。
出荷した製品に不具合が見つかりクレームが挙がった際も、品質保証が対応していきますよ。
工場勤務の中ではお客さん(ユーザー)と接する機会が多く、交渉力なども必要。
品証の対応によってメーカーに対する印象が左右されるので、「工場の顔」と言ってもいい責任重大な部門なのです。
生産技術
生産技術の役割を簡単に言うと「ものをつくるための仕組みをつくる」です。
「どうしたら短時間で効率の良くつくれるか」
「安全で確実な作業をするためにはどうするか」
などを考えながら製造現場の改善を行い、工場内の直接作業者が作業しやすい環境を整える役割があります。
製品の設計はしませんが、製品を作るための道具(治具)を設計するので、工場の中でもCAD(パソコンで設計できる図面ソフト)を扱う頻度は高いと言えるでしょう。
その他にも、組立手順や検査方法などのマニュアル作成、加工機の定期点検など広範囲な業務を任せられるので、品証同様にいろんな知識が必要となりますよ。
私も他社へ工場見学する時に、製造現場内に最先端のシステムを導入していたり、清流化された工程を見ると、
「ここの工場の生産技術は強いな」
と、つい関心してしまいますね。
生産管理
生産管理とは簡単に言うと、部品調達から出荷日まで工程ごとのスケジュール管理を行う部門です。
「いついつに部品入るよ」とか「この日までに完成させてね」といった納期に関わる情報を製造現場や協力会社へ発信する「司令塔」的な立ち位置と言えますね。
受注が入ってから顧客の要望納期で出荷対応できるように日程を調整したり、
「在庫がなくなって出荷できません」
とならないように、予め生産する量(適正在庫)を決めていく必要もあります。
営業部門と製造部門の中継役として接する機会が多く、板挟みにもなりやすい。
工場経理
工場経理は工場内の原価管理や決算業務などお金の計算をする部門です。
工場でものをつくるにしても、もちろんタダではできません。
生産する度に、原材料費だったり従業員の人件費だったりが発生しますよね。
まずは「この製品をつくるためには、これだけのお金がかかる」といった基準をつくります。
そして「実際に生産したらいくらかかったのか」を計算し、基準と比較してどうだったのか分析をするのが原価管理です。(コストマネジメントとも言う)
ちゃんと利益につながった生産ができるかを数字で表すためにも、工業簿記などの専門スキルが必要となってくるでしょう。
工場総務
工場総務とは工場の従業員にとって働きやすい環境を整える部門です。
主な仕事内容は
- 社会保険や福利厚生の手続き
- 出退勤関連の管理
- 従業員の採用
- 社内イベント関連の窓口
など多岐に渡り、挙げるときりがありません。
「困ったら総務」みたいな感じで、工場内で唯一全ての部署と関わります。
組織全体のモチベーションを高め、組織力を高めるポジションと言えるでしょう。
まとめ
工場の間接業務について紹介していきました。
「デスクワークばかりで地味」
「工場勤務なのにものをつくっている感じがしない」
など、人によっては仕事内容に様々なイメージがあると思われます。
間接部門が弱い工場は、何年たっても強い企業として成長せずに、そのまま廃れていくでしょう。
つまり間接部門の働き方で次第で、工場の貢献や信頼性が大きく左右されるのです。
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