工場内の各部門の役割ついて半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。
工場内にはいろんな部門がある
ロボットや自動車などの機械を生産する工場の仕事内容に対して、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?
工具とかドリルをもって製品を組み立てるような製造部門をイメージされるでしょう。
実は製造以外にも工場にはいろんなお仕事があるのです。
工場において製品ができるまでの流れ(生産工程とかフローと言います)を考えてみてください。
工場の入口では、買った部材の受入から始まり、出口では完成された製品が箱詰めされて出荷されますよね。
このように生産工程における入口から出口までの間で直接製品と携わって仕事をするチームを直接部門と呼んでいます。
一方で、生産性を上げるための改善活動や、従業員のサポートをして間接的に会社の利益に貢献するチームを間接部門と呼びます。(会社によって直接部門と間接部門の定義は若干違うかも)
つまり、工場内では各工程ごとに複数の部門がそれぞれ適切な役割を果たすことで、最終的に製品が客先の手元へと届くのです。
【工程別】各部門の紹介
「各工程にはどんな役割があるの?」
「工場で製品ができるまでの流れを知りたい!」
製品の組立以外にどんな工程があって、どんな役割があるのか気になりますよね。
ここでは、私が働いている半導体製造装置メーカーを例として、工程別に各部門の仕事内容を簡単に紹介していきます。
大まかな生産工程を知って、ものの流れと工場の実務内容を把握してきましょう。
荷受け(受入部門)

まず工場の入口(生産のスタート地点)となる部門です。
受入部門や資材部と呼ばれる部署が担当されるケースもあります(会社によって部署の名前は様々)。
毎日トラックで運ばれてきた材料や、下請け業者が製作したユニットの受入れ業務を行います。
伝票と受け取った品を照合して受領印を押す。
その後は工場内にどんどん物を入れていきますよ。
細かい部品のみならず、重量物や大きなパレットごと納品されるので、フォークリフトやクレーンなどが扱える人材が適切と言えるでしょう。
受入検査(品質管理部門)

受入れた材料の品質が良いか悪いかのチェックを行います。
加工品の場合は
図面通りの寸法内に収めれているか
- 傷や汚れ、仕上がりの外観チェック
- 図面通りの寸法公差におさまっているか
- 数量
などを部品レベルでチェックしていきますよ。
装置などに組み付けてから不良が発覚しては、製造の組立ロスにつながるのはもちろん、工場の在庫に不良品が混在して被害が拡大するでしょう。
また、業者側に連絡しても
「いやー、御社の組立時にダメにしちゃったんじゃないんですか?」
などという腑に落ちない対応をされてしまうケースがあります。
そうならないためにも、事前に不適合品を見極める必要があるのです。
ノギスやマイクロメーター、最新の測定機器などが使えるため、観察スキルが磨かれるでしょう。
部品管理(材料管理部門)

納品された部品を管理して、案件ごとに部材の仕分けやピッキングを行います。
似たような部品が混在している中、間違わないように指定された種別と数量の入出庫を行います。
管理する部品数が多いので、定期的な在庫調査(棚卸し)時期に入ると、かなり慌ただしくなるでしょう。
種別間違いや数量間違いなどのヒューマンエラー発生防止のために、様々な改善活動や最新の在庫管理システムも検討するのも業務の一環です。
単純作業ですが、正確さとスピードが求められるでしょう。
製造(生産部門)

部材が集まった後、生産スケジュールに従い製品をつくる部門。
製造の中でも工程は細かく分かれますが、私が勤務している工場では、大きく分けて組立工程と検査工程に分かれます。
組立
様々な工具や加工機をつかって、設計図通りの形にしていきます。
組立手順書などのマニュアルに沿って組立を行うのが一般的ですが、設計が描いた図面を直接みて組むケースもあるので、機械設計の知識もそれなりに必要です。
何をつくるかにもよりますが、機械関係の知識も勉強しつつ、はんだ作業やネジ締めといった技能スキルの習得も重要となってくるでしょう。
出荷検査
組み立てられた製品に異常がないかを、実際に動かしたり、測定器をつかって検査する大事な工程です。
- 図面の指示通りに組立できているか
- 仕様を満たす動作をするか
などを実施して、検査表にしっかり記録を残していきますよ。
製品を保証する工程なので製造のみならず、品質保証部とか品質管理部といった、別部署が担当するケースもあります。
検査をする上でメカ、電気、ソフトなど総合的な知識が必要となるため、それなりに現場経験を積んできた従業員に任せられる傾向があるでしょう。
配送(出荷部門)

出来上がった製品を箱詰めして客先宛てへ出荷業務を行います。
配送の重要な役割は大きく2つ
- 緩衝材や固定バンドなどをつかって運送中に製品が壊れないよう確実な梱包をする
- 送り先の住所と頼んだ製品が間違っていないかの最終確認
が挙げられなす。
いくら品質の良いものでも、最後を疎かにしてしまっては、クレームとなって客先から信頼を失う残念な結果となってしまうでしょう。
工場の最終地点が故、前工程のしわ寄せ(急ぎ案件などの影響)を受けやすく、プレッシャーも感じやすい、いろいろと大変な部門である。
まとめ
今回は生産するために直接ものに携わる部署を紹介していきました。
工場の入口から出口までの生産工程(一連の流れ)をイメージできたでしょうか。
「自分は工場勤務じゃないから関係ないし」
と思われる方もいるでしょう。
設計開発や営業の方でも、ものづくり関係の企業で勤務される方は、自社の工場の流れを知っておきましょう。
良いものをつくるには、前工程と後工程の円滑なコミュニケーションのやりとりも一つ鍵となってきますよ。
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