工場の荷受け部門の仕事内容について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。
荷受けの役割
「そもそも荷受けってなに?」
「どんな仕事?」
工場や倉庫でバイト経験がある人でない限り、あまり聞き慣れない部門なのではないでしょうか。
工程内のスタート地点とも言える工場の荷受け部門は、大きく分けて2つの役割があります。
まずはどんな役割なのかを知って、荷受け作業のイメージができるようになりましょう。
届いた荷物を受け取る
通販で物を購入すると、宅配業者が家まで商品を届けにきてくれますが、みなさんも玄関先で直接受け取った経験がありますよね。(まあ最近は置き配などありますが…引きこもりバンザイ!)
工場も一緒で、物をつくるために会社が買った材料を、運送業者や各メーカーの営業の方々が車で持ってくるわけです。
荷受けは外部から運ばれてきた品に対して、注文書通りの内容かどうかを確認し受領をして、決められた保管場所へと安全に移動させます。
受け取る品は手のひらサイズの小さいものから、人力では運べない重量物まで様々なので、フォークリフトを活用しながら受入れしていきますよ。
入庫処理
受け取って「はい終わり」としたいところですが、そう簡単に終られる荷受け部門は少ないと思われます。
社内全体へどんなものが届いたかを知らせるためにも、いつなにをどこから受け取ったのか履歴を残す必要があるからです。
- 社内管理番号が記載されたラベルを現品へ貼る
- 携帯端末を利用して現品に貼られたバーコード読み取る
- 場合によってはパソコンを使って手入力
- 受け取った納品書の管理
などといった事務作業もあります。
入庫処理が終わらないと次の工程へ物が流れていかないケースがあるため、速やかにデータ入力する必要があるでしょう。
納品された品物が多いほど、大変そうですね。
荷受け作業の注意点
工場における荷受けの仕事内容をイメージできたでしょうか。
「品数が多いと忙しいかもだけど、難しい仕事ではなさそうだな…」
と感じてしまう方いるかもしれませんが、もちろん適当にやってよい仕事ではありません。
荷受け作業する中で気をつけたいポイントを3つ挙げてみました。
参考にして、荷受部門の業務内容をもう少し深堀していきましょう。
現品表と現品の照合
箱の外に貼り付ける名札を現品表などと呼んでいますが、現品表に記載されている品物が中身と一致しているかどうか確認が必要です。
これができていないと、工場内で材料が払い出された際に、
「ものが全然違うじゃん!」
と後工程が混乱し製作が遅れる他、最悪そのまま客先へ流れてしまう恐れもあります。
外からの品物をどんどん受入れつつ、一点づつ現物の型式や注文番号を確認し、現品表の貼り間違いに注意していきましょうね。
箱のダメージ
納品時、段ボールなどの梱包材に凹みや穴がないか注意して観察していきましょう。
箱にダメージがある場合、中の品物に傷があったり、破損している可能性がありますよ。
発見する工程が後になってしまうほど、原因特定が難しくなってしまいます。
明らかにひどい梱包形態だった場合、
「受領した時におかしいと思わなかったの?」
「荷受け作業中にぶつけたのでは?」
と荷受け担当の従業員からしてみれば腑に落ちないことを問われたりします。
発見次第、品質管理部門や上司へすみやかに報告しましょう。
荷物の取り扱い
箱を放り投げたり、運搬中に品物を壁にぶつけると、当然材料の傷や破損の原因となります。
ぶつけた箇所の板金塗装が剥げてしまったり、衝撃などで精密機器の精度が狂ってしまうと大変です。
また、外で荷受けする際は天候にも注意しましょう。
材料が雨でぬれてしまうと、金属部のサビや電子部品のショートにもつながり兼ねません。
安全対策も万全にしたうえで慎重な荷受け作業をしていきましょうね。
求められるスキル
「荷受け作業って誰でもできるの?」
「荷受けする人の向き不向きを知りたい!」
社員でもアルバイトでも、仕事に対して求められるスキルは事前に知っておきたいですよね。
ここからは、荷受け業務で求めらるスキルを4つ紹介していきます。
チェックして、どんな人に適切な職場環境なのかを把握しておきましょう。
フォークリフト
パレットに積まれた重量物を迅速かつ安全に運搬するために、フォークリフトを活用する機会が多いでしょう。
フォークリフトを運転するためには、資格(免許)が必要となるため、利用者は限定されます。
逆に言えば、フォークリフトの免許を持っていれば工場や物流倉庫関連の職に困ることはありません。
あると便利な資格の一つです。
ドライバーとのコミュニケーション
毎日多くのトラックドライバーと顔を合わせる機会があり、若い方から年配の方まで年齢層は様々です。
口調が少しきつい方もいれば、顔見知りで癖の強い方もいるでしょう。
外から来るトラックドライバーはだいたい担当者が決まっています。
トラック運転手とコミュニケーションが取れるようになると、ゲート前まで台車もってきてくれたり、荷下ろしを手伝ってくれたりとだんだん気の利いた行動をとってくれますよ。
どんな方が来ても相手と衝突せず、柔軟な対応ができる方が望ましいですね。
優先順位を決める
複数の業者が同時に来てしまうなど忙しい時間帯もあるでしょう。
受入れゲートの広さも限りがあるため、工夫していかないと、荷受け待ち時間が長くなってしまい、トラック運転手の負担になってしまいます。
後からできる作業は一度中断して次のトラックが荷受けできるスペースを確保するなど、臨機応変な対応が必要です。
寒暖差が激しい環境を耐える
工場のゲートが開いた状態で荷受け作業をするため、外の気温に影響を受けやすい職場環境です。
夏はとても暑いので、細目な水分補強や休憩、空調作業着などが必要となってきます。
一方で冬場は暖房機器で温まりながらの作業となるでしょう。
工場勤務でありながらも半分外の作業になるため、真夏と真冬は特にきついです。
気温に敏感な方はおすすめしません。
荷受けの仕事をするには
荷受け業務はアルバイト求人サイトなどで非正規雇用の募集しているケースはありますが、初めから正社員を募集してる工場は比較的少なめです。
工場勤務で荷受けをする正社員のほとんどが、最初は製造部門などを経験した後に異動先として選ぶパターンが多いようです。
正社員は工場全体工程を理解しつつ、アルバイトや派遣従業員へ指示を出す現場リーダーや管理者の立ち位置になるでしょう。
まとめ
工場以外にも倉庫など物流系のお仕事なら、必ず存在する荷受け部門。
荷受け業務の現場経験を積んでおけば、転職するとなっても横展開しやすいでしょう。
ただ運ばれてきた部材を集荷するだけでなく、迅速かつ品質を注意しながら部材の受入れをする必要があります。
荷受けは工程のスタート地点であるため、良い意味でも悪い意味でも後工程への影響が生じやすい部門なのです。
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