機械の組立や分解作業を進めていく中で「ネジが回らない」といった症状に悩んだ経験はありませんか?
ネジ溝が潰れてしまうと、どうしたら良いのかわからなくなって、最終的に諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
実際に私が勤務する工場の製造現場でも、ネジがなめて外せないといったトラブルに遭遇しますね。
状況によって難易度も変わってきますが、ネジ穴が潰れたほとんどのネジは身近な道具や工具を使って外すことが可能です。
今回は、ネジ穴がなめた時の対処方法を半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単に分かりやすく解説していきます。
本記事を読むことで、現場トラブルにも対応しやすくなり、周りからの好感度も上がるかもしれませんよ!
ぜひ参考にしてみてくださいね!
ネジがなめるとは
「電池交換でケースのネジを緩めたらネジ穴が広がってしまった…」
「DIYでドライバーや六角レンチなどの工具を使ってネジを締めたら、ネジの頭が潰れてしまった…」
このような経験ありませんか?
ネジを締めたり外したりする時に、ネジ穴が潰れて工具が上手く引っかからない現象(カムアウト)を「ネジがなめた」と言います。
他にも
- ネジ溝が潰れた
- ネジがバカになった
なんて言い方もしますよ。
たった1本ネジがなめただけで、分解組立が進まなくなり、大事な製品をダメにしてしまう恐れがあるので注意したいところ。
ネジがなめる原因
「普通にドライバーで回しただけなのに…」
「なぜネジがなめてしまうの?」
そもそもネジ穴を潰さないためにはどうすればよいのでしょうか…
ここではネジ穴がなめる原因について3つ紹介していきます。
ネジがなめる原因を理解して、ネジ頭を潰さないよう未然防止に努めましょう!
工具先端のかかりが浅い
ドライバーや六角レンチなどを使用するときに、ネジ溝の奥までいれずに浅い位置で回してしまうと、ネジ溝を破壊させるリスクが高くなります。
また、斜めに工具を差し込んだ状態で回してしまっても、ビット先端がネジ溝にしっかりはまっていないため、なめるリスクが高まるでしょう。
必ず工具の先端は、垂直方向に力を加えた状態で差し込み軸がぶれないように回しましょう。
「ドライバーを垂直方向に押す力:グリップを回す力=7:3」の力量を意識しましょうね。
適切な工具を使っていない
ネジ頭のサイズや形状によって使用する工具は変わります。
特に初心者が間違えやすいのが、十字溝のプラスドライバーです。
トラスやなべネジを締結する際に、ドライバーの先端が「+」の形状だったら、なんでも使って良いとは限りません。
プラスドライバーにも適合サイズ(1番~3番など)があるので、ネジ頭の溝にがっちりドライバー先端が収まるサイズを選定しましよう。
過度な締め付け
ネジの締結は材質やサイズによって適正トルクが定められています。
手がプルプル震えるほどの過度な締め付け量は、製造現場でオーバートルクと呼んでいます。
力むと手元が安定しないため、工具持ち手の回転軸がぶれてしまったり、ネジ頭の破壊につながってしまうので注意しましょう。
潰れたネジの外し方5選
「出張先の作業でネジがなめてしまったらどうしよう…」
「潰れてしまったネジの外し方を知っておきたい!」
自分がどんなに気をつけていても、組み込まれいるネジがすでになめてしまっているケースもあるでしょう。
ここからは、なめたネジを外すおすすめの対象方法を5つ紹介していきます。
それぞれ潰れたネジ溝へのアプローチをチェックして、事前に準備しておきましょう。
輪ゴムをかます
潰れたネジ頭の溝とビット先端の間に輪ゴムをかませて、ネジ溝と工具のかみ合わせによる摩擦力を向上させます。
ゴムのグリップ性を利用した方法なので、ちぎれないようになるべく太い輪ゴムがおすすめです。
特殊な工具は不要で、一般家庭にもある身近なアイテムだけで済むのが嬉しいポイント。
手軽で簡単なので、試してみる価値ありと言えるでしょう。
貫通ドライバーを叩く
ドライバーの持ち手側(グリップエンド)をハンマーで叩き、潰れたネジ穴よりビットを深く食い込ませてネジを外す方法です。
衝撃に耐えられるように、持ち手側に座金がついている叩く専用のドライバーを「貫通ドライバー」と呼びます。
貫通ドライバーではない一般のドライバーを叩くと、破損や事故に繋がるので注意しましょう。
ネジ頭をつかむ
潰れたネジ穴を利用せずに、ネジの頭をペンチ等で掴んでゆるめる方法です。
掴んだネジ頭が滑らないように、ペンチの先端に滑り止め機構が施された、ネジ外す目的に特化したペンチがおすすめ。
国内工具メーカーのエンジニアから販売されているネジザウルスが有名ですね。
ネジ頭を掴んで外す際は、ネジ止めされている対象物(製品側)に傷をつけてしまうリスクがあるので、慎重に外しましょう。
滑り止めや接着材などで摩擦を増強
潰れたネジ穴に接着剤のような液剤を塗布して、ビット間との摩擦力を高めて外します。
原理は輪ゴムをかます方法と似ています。
接着剤で潰れたネジ頭の溝を埋めて乾燥させてから、貫通ドライバーで再度溝を成形する方法もありです。
マイナス溝を加工
なめたネジ溝の上から、再度マイナスドライバーが入る程度の溝を新たに追加工します。
根気はいりますが、ヤスリや鋸で少しずつ溝を作成しましょう。
手加工は疲れるので、グラインダー等の半自動ツールがあると便利ですよ。
また、フライス盤等が使える環境であれば、皿ネジやザグリ穴に埋まったネジにも対応可能です。
まとめ
なめたネジの外し方についていくつか紹介しましが、他にも様々な工具メーカーが、なめたネジ対策用のツールを販売しています。
また、ネジの種類や潰れ具合によって、なめたネジへ施すアプローチ方法は様々です。
製造現場でネジがなめてしまっても、あきらめる前に、まずは今回紹介した外し方を試してみましょう!
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