【自作】D-subコネクタケーブルの作り方

Dサブコネクタケーブルの作り方 ノウハウ

電子機器組み立ての製造業において、はんだ付け圧着技能が上達してくると様々なケーブルの製作や改造を依頼されるようになります。

装置へ接続するケーブル端子の一つにD-subコネクタがよく使われる傾向がありますね。

そこで今回は、D-subコネクタケーブルの作り方について、工場勤務10年以上のゆとり課長がみなさんへ伝授していきますよ。

いろんなケーブルを自作できるようになると、通信機器の改造やDIYなどものづくりの楽しみ方が広がりますので、ぜひ作り方を知っておきましょう!

D-subコネクタとは

そもそもD-sub(ディーサブ)コネクタとは何なのでしょうか。

Dサブコネクタの歴史は長く、1952年にアメリカのITT Cannon社が開発してから今もなお世界的に標準化されているコネクタです。

端子正面を見るとアルファベットのD型になっていて、外部からのノイズ信号に強く、主に映像出力や電子機器の通信端子として使われています

身近なところで言うと近年の映像出力端子はHDMIコネクタが主流となっていますが、Dサブコネクの代表例であるRS-232C端子などがまだ活躍していますね。

映像出力のみならず、産業ロボットに接続する通信ケーブルの端子にDサブコネクタは現役で使われていますよ。

D-subコネクタ型ロボットケーブルの作り方

「D-subコネクタのケーブルって自作できるの?」

「D-subコネクタ接続ケーブルの作り方を知りたい!」


はんだ付けはやったことあるけど、D-subコネクタ型ロボットケーブルを1本作れる方は限られると思われます。

そこで今回はD-subコネクタ型ロボットケーブルを実際に1本製作して手順やポイントを解説していきますよ

最初は上手くいかな人がほとんどだと思いますので、参考程度に気軽にチェックしてきましょう。

準備

D-subコネクタ型ロボットケーブルを作るために必要な部品を紹介します。

今回は9ピンのDサブコネクタを使用していきますね。

  1. キャプタイヤケーブル MVVS-0.3sq-10
  2. D-subコネクタ_プラグケース HDE-CTH(10) (ヒロセ電機)
  3. D-subコネクタ_オス9ピン HDEB-9P(05) (ヒロセ電機)
  4. 銅箔テープ
  5. 鉛フリーはんだ
  6. 熱収縮チューブφ1.5

工具類は以下を使用します。

  • はんだごて
  • ヒートガン
  • プラスドライバー(1番)
  • 電工ナイフ(切れ味悪いカッターナイフでも可)
  • ワイヤーストリッパー
  • 万力(コネクタをクランプできる治具)

ケーブル製作における作業中断は配線ミスを招きやすくなるので、道具や部品は予め準備しておきましょう。

D-subコネクタカバーの分解

ヒロセのD-subコネクタは写真のようにナベネジ2本とナットで固定されています。

ここのネジは材質が柔らかく、ドライバーのビットサイズを間違えるとネジの頭がすぐなめてしまうので注意です。

ネジを外したらコネクタカバーを分解し、それぞれ部品を失くさないようにパーツケースへ保管しておきましょう

ロボットケーブルの外被剥きの長さ決め

D-subコネクタの根本部分は、キャプタイヤケーブルの外被(シース)でクランプする構造です。

そのため一度コネクタとキャプタイヤケーブルを合わせ、クランプ部分の位置を考慮しながら、ケーブルシースの剥き長さを決めていきますよ。

位置が決まったら、電工ナイフでケーブル外被を慎重にカットしていきます。

今回は電工ナイフではなく、切れ味を悪くした愛用カッターを使って中の心線を無傷にケーブル外被だけを剥いていきますね

シースをうまく剥くコツは、カットする位置に合わせてケーブルをU字に曲げ、一番外側をナイフの刃でそっと全方向に当てながら少しずつ剥く感じです。

ある程度ロボットケーブルのシースが剥けてきたら、最後手でつかんで回しながら引っ張ってみてください。

刃を強く引いてしまったり、交換したばかりの切れ味鋭いカッターの刃を使ってしまうと、中の被覆まで傷が簡単に入るので注意しましょう。

シールド線の処理

キャプタイヤケーブルのシースを向くと、配線を覆う金属のシールド線が出現します。

シールド線をコネクタ筐体に触れさせることで、外部からの信号(ノイズ)に強くなりますよ。

シールド線をクランプ部にしっかり導通させる目的で、銅箔テープの幅に合わせてシールド線を少しカットして、ぼさぼさに広がらないように銅箔テープで1周半巻いておきましょう。

予備はんだ

D-subコネクタのカップ端子挿入部分の長さに合わせて電線の被覆をワイヤストリッパーを使って剥きましょう(今回は3mm程度)

D-subコネクタのカップ端子内と心線にそれぞれ予備はんだをしましょう。

※はんだ業界においてカップ端子へ予備はんだする派と予備はんだしない派の論争ありますが、これについてはまた別途記事にしたいと思います。

D-subコネクタのカップ端子のはんだは少量かつ、カップ端子の奥まではんだを流すイメージです。

はんだ付け

はんだをする前に必ず熱収縮チューブを入れておきましょう。

はんだ付け終わってから、熱収縮チューブ入れ忘れに気づいてやり直すパターンは、はんだ付けあるあるの堂入りレベルですからね。

シースの剥き長さが短いほど、はんだのこて先の熱で熱収縮チューブが先に縮まり、はんだ付けが困難になります。

その際は、熱収縮チューブの長さをギリギリまで短くカットするか、ケーブルのシースを一時的に寄せて回避させる必要がありますよ。

熱収縮チューブの準備が整ったら、こて先にはんだを少量のせて、カップ端子を温めてフラックスが溶け始めたら心線を挿入

言葉で説明すると簡単ですが、電線の被覆やD-subコネクタ樹脂部が溶けたり、カップ端子入り口でより線がほつれたりして、最初はなかなか苦戦するでしょう。

はんだ付けができたら、あらかじめ通していた熱収縮チューブをはんだ部分に被せてヒートガンであぶり縮めてください。

今回私は9ピンD-subコネクタに対して10芯のキャプタイヤケーブルを使用したので、未使用の電線1本(写真でいうピンク色)も念のため先端を収縮チューブで覆いました。

コネクタ組立

分解した部品を元に戻してD-subコネクタを組立ていきますよ。

Dサブコネクタの向き(正面から見るDの向き)に指定があればこの時点で決めておきましょう。

向きが決まれば、キャプタイヤケーブルをクランプに通し、ネジを締めてしっかり固定していきます。

今回使用したキャプタイヤケーブルの太さは丁度いい感じにクランプできましたが、ケーブル径がクランプよりも細かったら、根本がしっかり固定できるまで外形を自己融着テープなどで巻いて太らせてください。

またシールド線を銅箔テープで巻いた場合、コネクタ筐体と導通をとるため、クランプ部分と接触させてくださいね。

抜け防止用のネジ2本の入れ忘れと組付け位置にも注意です。

カバーを閉じる際は、配線の嚙みこみが起きぬよう、広がった配線をコネクタ内部中央に寄せましょう

導通確認

自作したケーブルは接続する前にテスターなどを用いて導通チェックを行いましょう

配線の入れ間違いやカバーの嚙みこみがある状態で接続すると、電源入れた瞬間に接続先がショートして逝く可能性があります。

テスターの導通チェックモード(ピー音するやつ)でD-subコネクタのピンをそれぞれあたっていきますよ。

私は心配症なので、片側1ピンに対して相手側は全数導通チェック(短絡チェック)していきますね。

時間はかかりますが、ケーブル内部のショートで今まで用意してきた機器がすべて台無しになることを考えるとやっておいた方が安パイかと…

まとめ

D-subコネクタ型接続ケーブルの作り方を解説してきましたが、いかがだったでしょう。

ケーブルのシースを剥いたり、カップ端子への半田付けだったりと、初心者の方はなかなか苦戦すると思います。

かと言って、はんだ付けの練習だけやり続けても、何か一から自分でものづくりできるようにならないと、なかなか技能が上達したという達成感に欠けてしまいますよね。

D-subコネクタはあらゆる産業機器に豊富に使われているため、接続ケーブルを自作できることは一つの技能スキルとなります。

電子機器組立における技能が上達してきたら、ぜひ挑戦してみましょう。

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