工場の生産技術部門の仕事内容について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。
生産技術の仕事内容
「生産技術って普段どんな仕事をしているの?」
「生産技術部の役割を知りたい!」
理系大学の学部卒や院卒の方が工場勤務になった際、配属先として候補に挙がるのが、生産技術部のイメージがありますね。
技術職なので、エンジニアとしての専門的な知識や経験があるほど優遇されるからです。
技術と聞くと、「CADでひたすら設計」のイメージがありますが、生産技術(生技)はちょっと違います。
では、どんなことをしているのでしょうか。
ここでは、生産技術部の主な仕事内容について3つ簡単に紹介していきますよ。
仕事内容を知って、生産技術部の役割について理解していきましょう。
生産ラインの構築
工場でものをつくる時は、原材料の加工から組立・検査まで各工程を通って配送センターから出荷されます。
これら一連の流れを生産ラインと呼び、生産技術は無駄のない効率的な生産ラインを設計していきますよ。
例えば、工場で「新製品の生産を開始するぞ!」ってなると、
- 加工や組立に必要な道具
- 各工程に配置する作業者の適正人数
- 安全かつ効率的な組立手順
- 作業場のレイアウト
- テスト稼働や試作機評価
- 作業手順書などのマニュアル作成
など、いろんなことを考えていく必要があるのです。
生産ラインを現地で稼働させる役割があるため、生産拠点が海外ですと、場合によっては長期の海外出張も任せられます。
現場改善の推進
新製品の生産を立ち上げるだけでなく、既存の製品や生産ラインもどんどん改善していきます。
- 危険作業のピックアップとそれに伴う事故の未然防止対策
- 工程内の3ム(ムダ・ムリ・ムラ)の洗い出し
- 治具の設計製作や工具の校正
- 仕様変更における製作基準書の改定
以上のようなことも日々継続的に取り組みますよ。
生産技術の取り組みによって、工場の雰囲気はガラッと変わるでしょう。
機械保全
作業者が安全かつ安定した品質を作り上げるためには、使用している機械の定期メンテナンスが必要です。
また、機械トラブルが発生してから対応する場合、急に生産が停まったり、莫大な修理費用が掛かったりとリスクが大きいでしょう。
日常点検レベルの場合、普段から使用している機械オペレーターが行いますが、その上に機械保全の専門的知識を持った技術者が必要になります。
このポジションはメカ知識豊富な生産技術部の方から選出されるケースが高いと思われます。
したがって、普段機械は触らなくても、なにかあったらすぐ現場で対応できるように生産技術がスタンバイしている、そんなイメージですね。
生産技術に向いてる人
生産技術の仕事内容について大きく3つ紹介してきました。
普段は工場の事務所でデスクワークをしているけど、なにかあったら現場で作業するような勤務スタイルですかね…
幅広い役割をこなす生産技術で仕事する上で、どんな人が向いているのでしょうか。
ここからは生産技術に向いている人の特徴を3つ紹介していきます。
生産技術の仕事に興味をもっている就活生や、これから工場勤務をする新入社員の方はぜひ参考にしてくださいね!
スキルアップを目指す
技術系の知識から生産に関わる技能まで、幅広く柔軟にこなす必要があります。
若手のうちは外部の講習会や、技能研修などに参加し、いろんな資格を取得するよう会社側から背中を押される部署になりやすいです。
- 自身のキャリアを積みたい
- 将来転職を考えている
- 勉強が苦ではない
といった方々には、非常に充実した部署と言えるでしょう。
改善活動が好き
なにも考えずに淡々と仕事をこなすのではなく、
「もっと良い方法ないかな」
「自分だったらこうするな」
など、どうやって効率よくものがつくれるかを、常に考えられる人が向いていると言えるでしょう。
がむしゃらに汗水流して働く姿勢も大事ですが、頭を使っていかに仕事を楽にできるか考えられる人ほど、最終的には評価されやすいのです。
人への教育が得意
生産技術は工程内の作業や設備の扱い方を従業員に指導する役割があります。
時には、日本語が通じない海外の方にレクチャーを求められる場面もあるでしょう。
言葉だけで説明するのではなく、写真やジェスチャー等をつかって、視覚的にわかりやすい教育方法が良いです。
また、作業者目線で、やりにくい部分や注意するところをしっかり解説できるコミュニケーション能力も試されますよ。
生産技術のきつい点
生産技術部は技術と技能を兼ね備えた優秀エンジニアで構成されるため、品質保証部と同じ、工場勤務の花形部署として認知されやすいでしょう。
私の工場でも、高専や院卒の方が多い傾向です。
「生産技術ってめっちゃ楽しそう!」
「工場勤務するなら生産技術一択だな」
このように考える就活生や新入社員もきっと多いと思われますが、ちょっとリアルな部分も知っておきましょう。
ここでは、生産技術のきつい点について3つ挙げてみました。
長く工場勤務するためにも裏の部分はぜひ知っておいてください。
休出や残業が多くなりがち
改善活動を取り組んでいく中で、なにかしら生産ラインに手を加える場合、機械などの電源を落として作業するのですが、当然その間は生産ラインを稼働できません。
製造の生産ラインをストップさせるということは、工場全体に影響が生じてしまうため、稼働時間外での作業が推奨されるでしょう。
※生産管理や製造現場が特に嫌がります。
そうなってしまうと、生産技術が現場に入って作業できるのは、残業時間か休日となってしまう訳です。
また、装置に異常があった場合、翌日の稼働が再開できなくなるため、解決するまで帰れない的な雰囲気にもなりますね…
何かと頼まれごとが多い
品質保証部と同様に何か現場でトラブルがあると、とりあえず生産技術部も行ってこい的な感じになりやすいでしょう。
様々な役割を幅広くこなす生産技術は、
「あの人たちなんか資格いっぱい持ってるし、なんでも知ってそう」
というイメージからか、周囲からやたらと期待されてしまうのです。
現場からの煽り
時間がかかってやりにくい作業や、危険な作業などがあると、製造現場の従業員は不満を感じてしまいます。
そんな時に生産技術が現状把握として作業者からヒアリングすると、現場はイライラしてるので結構口調が粗かったりしますね。
また、治具が使いづらかったり、作業手順書の間違いなど、業務上のミスが現場で発覚すると、すぐに現場から呼び出しをくらい怒られます。
生産技術の業務は、製造作業者に直接関わるものが多いため、製造現場からの煽りを受けやすいポジションと言えるでしょう。
まとめ
生産技術の仕事内容について簡単に解説していきました。
設計と製造の仕事を両方とも経験できる、幅広い仕事内容が特徴です。
幅広い仕事をこなす中で、様々な資格取得にも挑戦できるため、エンジニアとしてのスキルアップしたい方におすすめの部署と言えるでしょう。
良くも悪くも生産技術が優秀かどうかで工場のレベルは大きく左右されます。
充実した職場に長く就けるように、求められる役割や仕事内容をきちんと理解していきましょうね!
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