受入検査って必要?役割と業務内容を簡単解説

工場勤務

製造業において、受入検査を任せられた経験ありませんか?

受入検査の方法や担当部署は、工場によって特色があるので、いまいち何やってるかのイメージがしにくいでしょう。

受入検査に対する考え方や目的が工場全体でモヤッとしていると、品質も工程も安定しません。

今回は工場の受入検査部門の仕事内容について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。

本記事を読めば、受入検査がものづくりにおいてどんな役割があり、どう取り組んでいけば良いかがわかりますよ。

受入検査とは

顕微鏡をのぞいて観察する検査員

ものづくりの各工程間には、いくつかに分かれて検査が入ります。

その中でも受入検査は、原材料や加工品の納品直後に行う検査であり、工程の上流に位置する部門となります。

部品材料メーカーから納品されたものは、規定の品質を満たしてるかチェックをしていきますよ。

工場によっては、「受入検査チーム」として独立した部門を定めている他、

  • 製造
  • 品質保証
  • 品質管理

といった部門内で担当することもあるでしょう。

受入検査の役割

「受入検査って何のためにやるの?」

「受入検査の目的を知りたい!」

そもそも何のために受入検査をするのでしょうか…

まずは、受入検査の役割について2つ紹介していきます。

工程内不具合の未然防止

部品単体の段階で不良品を排除しておけば、工程内の歩留まり(チョコ停・ドカ停など)や再作業を減少できます。

例えば、仕様を満たしていない部品が製造現場に流れてしまうと、

「この部品がおかしかったせいで、組み込んだ装置全体が壊れてしまった」

「えー!この部品不良品だったの?もう何台かこれ組み込んじゃったよ!やり直しじゃん…」

「この加工品の穴位置若干ずれててネジが入らない…」

などのケースは、製造工程の従業員からめちゃくちゃ怒られる他、部品交換にかかる費用だったり、作業の中断が発生したりと、工場の生産性やコストに影響してしまうのです。

受入検査の従業員からしてみれば「俺らが不良品作ったわけじゃないのに…」とつい愚痴を言いたくなってしまいますよね。(いや、まあでもホントそうなんですよ、供給先に責任があるんです)

顧客への信頼性確保

受入検査をすることで工場在庫部品の品質維持ができ、客先へ一貫した品質の製品の供給が可能となります。

最終的には顧客からの信頼獲得につながってきますよ。

例えば、検査していない部品単体の流出が原因でクレームが生じた場合、客先によっては、

「おたくの工場どうなってんねん!検査しとらんのか!」

と厳しく追及されるケースがあります。

当然ですが、「はい、部品つくった会社の責任なんでうちは悪くありません」なんて言いたくても言えませんよね。

工場見学などで受入検査している職場をみると、

「ここの工場は品質体勢がちゃんと整っていて安心できるな」

という印象も与えやすいでしょう。(でもまあ結果が全てです)

受入検査部門の仕事内容

加工品の寸法をノギスで確認

受入検査の職場では普段どのような業務を行っているのでしょうか。

受入検査の業務内容は大きく2つに分けられます

仕事を理解して、受入検査の業務内容をイメージできるようになりましょう。

品質検証

供給先から納品された部品を異常がないか現物を見て判断していきます。

図面や仕様書を見ながら

  • ノギスやマイクロメーター
  • 三次元測定機
  • マイクロスコープ
  • レーザー測定器

といった様々な測定器を使い、傷の有無や加工精度など部品単体で細かくチェックしていきますよ。

仕様を満たしていない部品は後工程に流れないように、NG品エリアなどを設けてしっかり良品と分けていきます。

品質改善

不適合品(不良品)の未然防止や再発防止を行う業務です。

そもそも工場へ不適合品が入ってこないような仕組みをつくるためにも、4M変更管理を基に現状把握から問題点の洗い出し、対策を練っていきます。

NG品や気になる点を発見したら、まずはいろいろな角度から観察しデータを分析していきます。

最新の高額な測定機器はそのためのものなので、使い方などを勉強してフル活用していきましょう。

場合によっては、部品を供給したメーカーへのヒアリングを実施し、是正対策を一緒に検討していきますよ。

※ここの仕事は工場によって部門を分けているかもしれません

受入検査の手法

受入検査の仕事イメージがついてきたでしょうか。

部品一個一個見ていくなんて大変ですよね。

検査の流れも、実際は物によっては変えたりして、柔軟に対応するケースが多いです。

受入検査には全数検査と抜取検査と呼ばれる2通りの方法があります。

どんな手法なのか、それぞれ解説していきますね。

全数検査

全数検査とは、全ての部品や製品を検査対象とする方法です。

全数見ていくので、不具合品が流出するリスクを確実に削減できるメリットがある一方、検査に要する時間とコストがかかってしまうデメリットが挙げられるでしょう。

なんでもかんでも全数検査してしまうと、受入検査の負担が大きくなります。

そのため全数検査の対象は、初回製作の部品や重要部品などに絞っている工場がほとんどと言えます。

抜取検査

抜取検査とは、ロットごとに部品を数個抜き取って品質基準を満たしているかの合否を判断する方法です。

ロットとは簡単に言うと、一定条件連続して生産した製品の一括り(受注単位)を指します。

例えば、

「100個入りの部品の中から1個抜き取って検査しOKなら、残りの99個も同じ条件で作っているからOKにしちゃいますね」

というやり方です。

全数検査と比べて検査に費やすコストや時間を大幅に削減できる一方で、不良品を見落としてしまうケースが発生します。

関連部署と話し合い、抜取検査が可能な物、よくないものを予め決めておきましょう。

受入検査に向いている人

部品の寸法をノギスで測定する男性

「工場の受入検査って難しいの?」

「どんなところに気を付けるべき?」

これから受入検査で仕事しようと考えている方、受入検査部門に入って間もない方は気になりますよね。

仕事は人によって向き不向きは当然ありますから…

ここからは、受入検査する上での注意点を2つ紹介していきます。

どんなことが求められる仕事なのかきちんと理解しておきましょう。

物の扱い方

精密部品であるほど、ちょっとした小傷やホコリが原因で不良を招いてしまいます。

検査する時に手でベタベタ触ると板金が腐食してしまったり、微小な皮脂や毛などの異物が付着します。

また、検査時にノギスやピンセットを当てた部分が傷になってしまったり、机に置いた時打痕を与えてしまうケースもありますよ。

部品だけでなく、測定器も大事に扱わないとすぐに壊れてしまい危険です。

清潔さを維持しながら、慎重に優しくものを扱える方が向いているでしょう。

原因究明

受入検査で不具合品を発見した際は、協力会社へ情報をフィードバックさせて再発防止の対策を練ってもらいますが、前工程へ連絡する前に原因はなんだったのかをはっきりさせる必要があります。

いろいろ調べていくと、図面指示の不備だったり、納品時の運送が原因だったりして協力会社に非がなかったというケースがあるかもしれません。

相手起因でないのに、相手のミスと決めつけて連絡すると、返り討ちに合うので注意しましょう。

不具合が発生した場合、「なぜそうなってしまったのか」真の原因を裏付ける証拠が必要です。

現物の仕上がり面や測定データからどんなことが読み取れるか考察力が必要となるかもしれません。

まとめ

受入検査部門が普段どんなお仕事をしているのか簡単に解説してきました。

工程内にNG部品を入れさせないために、日々細心の注意を払いながら観察してきます。

「いろんな部品を検査することが業務なのね」と思われたかもしれませんが、極論言うと最終目標は「検査をなくすこと」です。

「今まで解説しといて最後に何言ってんだコイツ」って思うかもしれませんが、気が向いたらこれについてまた語りますね。

不具合はなぜ発生したのか真の原因を追究し対策しない限り発生し続けるでしょう。

検査してNGを見つけた後どうするかが非常に肝心なのです。

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