「当社は各部門一体となってより良いものづくりができます!」
「部署間でも風通しよく、アットホームな職場環境です!」
ゆとり世代の就活時期に流行っていた企業PRのフレーズですが、皆さんの職場は実際どうだったでしょう。
私の勤務する工場では、毎日部署間で仕事や責任の押し付け合いが行われていて、とてもアットホームで風通しの良い職場環境とは言えませんでした。
最初は自分が働いている工場だけのかなと思っていたのですが、同じ製造業に勤務する友人たちから聞くと、意外と状況は同じでどこも部署間の壁が存在するようです。
そこで今回は、製造業で仲が悪い部署関係を製造現場の目線で紹介していきます。
メーカーや工場勤務の経験がある方は、きっと共感してくれる内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
仲が悪い部門間
製造業といっても、ある程度規模の大きいメーカーは全ての部署が工場に集結しているわけでなく、都心に本社ビルがあったり、全国各地に支店や営業所が存在します。
製造業の生産拠点となるのが工場ですが、生産から出荷するに至るまでは、工場以外の様々な部門とのやりとりがあるのです。
その中でも工場と大きく関わるのが、営業部門と設計開発部門になりますが、この2つの部門とは社内の定例会議や日々の電話メールで不満をぶちまける方も多いのではないでしょうか。
まずは、生産拠点である工場と各部門でどのような壁が生じてしまうのか紹介していきますよ。
同じ会社なのに、部門間でなぜ関係が悪化してしまうのか考えてみましょう。
生産部門(工場)と営業部門
工場と営業の間で揉めるのはほぼ納期関連ですね。
営業は顧客から受注をいただくと、工場へ製品を出荷するように社内システムを通じて依頼し、工場は納期に間に合うように出荷対応を進める流れが一般的です。
出荷までにかかる日程をリードタイムと言いますが、工場側は通常時のリードタイムを受注前に営業へ予め提示しています。
しかし、中にはリードタイムが崩れる案件もありますね。
例えば、
- 顧客要望で大幅な納期の前倒し
- 特注案件により部品の調達に時間がかかる
- 突発的な大口受注により工場の安全在庫を上回る
このような状態になると、品質維持と納期面でバランスをとりたい工場側と、とにかく売上目標を達成したい営業部門で摩擦が生じます。
最終的には上層部のジャッジで「工場側がなんとか対応しろ」と神のお告げをもらい、残業やら休日出勤で対応するパターンがほとんど。
工場側としては、
「もっと早く情報をくれよ…」
「お客さんの要望だけ聞いてこっちだけに押し付けるなよ、交渉力ないんか…」
とつい愚痴を言いたくなってしまうのではないでしょうか。
生産部門(工場)と開発部門(設計)
開発部門とは新しい技術や特注品の開発を担当しており、ものづくりの大本である製品設計を決める重要なポジションです。
設計チームから図面が送られてくると、工場側は資材の購買から出荷まで各工程のスケジュールを考え、安定した生産プロセスを構築させるのですが、次のような設計開発側の都合で、予定が狂う場合があります。
- 製品の仕様が固まらず図面の提出が遅れる
- 生産途中で不具合が見つかり追加部品が発生
- 出荷直前になってソフトの更新が必要
予期せぬトラブルや仕様変更が入る度に生産ラインは混乱を招くため、工場側は開発部門へ不満をぶつけますが、開発部門側も、
「こっちも時間がない中やってんだから大人しく協力しろ」
など半分開き直った感じで対抗してきますね。
結局、品質が良くないものを市場へ出す訳にはいかないし、かと言って決められた納期はそう簡単に崩せないため、遅れた分のつけはほとんど工場でカバーすることになるでしょう。
仲が悪い工場内の部署間
ここまでは工場外の部門間との壁をご紹介していきましたが、工場内はどうでしょうか。
工場内も様々な部署があるため、日常茶飯事で部署間での衝突があります。
次は、工場内でよく聞く仲悪い部署間について紹介していきますね。
自分たちが勤務する工場にもあてはまるかどうか、せひチェックしていきましょう。
製造現場と生産管理部
製造現場と営業が直接納期絡みの話をしても、お互いに一歩も譲らない展開にしかならないため、間に生産管理が入ります。
とは言え、営業からぶっこまれる短納期案件も、生産管理が日程を調整しただけでは終わらず、そのシワ寄せは各工程の製造現場に残業やら休日出勤といった形で来ます。
製造現場も人が作業する以上、常に安定した工数でモノが作れるとは限りません。
また、通常よりも高い稼働率を設定し続けると、少なからず製造現場の作業者に負担が蓄積し、作業ミスを誘発させる原因にもなってしまうでしょう。
実際の製造現場のリソースと生産管理が立てる生産計画が噛み合わないと対立が起きてしまいますよね。
製造現場と生産技術部
生産技術は、製造工程の改善を日々考え、現場作業者への指導や生産現場のレイアウトの最適化を行います。
製造現場と生産技術の対立が起きやすいシーンは、生産の流れにおいて現場に変化が生じる時です。
製造現場の従業員にとって一番嫌なのは、今まで慣れていたやり方を急に変えられる点でしょう。
改善目的を現場へ説明しても、製造現場側のメリットがない内容であれば、生産技術はとても反発をくらいます。
よくあるのが、
- 座り作業から立ち作業へ変更
- 工場見学などの見栄えに重視したレイアウト変更
などが挙げられますね。
また、現場の生産機器がトラブルに見舞われると、生産技術がすぐに呼び出されて、イライラした製造現場で対応を迫られることもありますよ。
生産管理部と購買部
工場によっては、生産管理が一括して部品や原材料の調達を行う場合がありますが、受注案件の納期調整する役割と資材調達の役割でチームが分かれているとよく揉めます。
生産管理部はとにかく製造現場の予定を崩させたくない(製造現場と営業から板挟みに遭う)ので、納期と品質重視で話を進めます。
一方で購買部は納期も重要ですが、コスト面やサプライヤーとのつながりも意識しながら資材の調達をする傾向にありますね。
購買部で部品や原材料の購入価格はコストダウンできても、品質が低下すれば製造現場で歩留まりが生じる可能性もあるし、要望通りのタイミングで部品が供給できないと納期に影響が生じてしまうでしょう。
特にジャストインタイムとかやらされる工場なんかは、生産管理部と購買部の負担がめちゃくちゃ多く、お互いストレスに感じてしまい、同じ事務職でも部署間の壁が生じてしまうのです。
品質保証部とほとんどの部署
品質保証部は生産技術部同様に「工場の顔」、「工場の花形部署」というイメージがありますが、生産技術部よりも他部署から一方的に敵対視される傾向にあります。
市場クレームや工程内の不具合に対して、現場へ指導する立場でありますが、厳しく問い詰めると製造現場から反発をくらいます。
また品質を守るために、工程内に細かいチェックを新たに導入しリードタイムに影響が生じると生産管理が登場し、生産設備や作業手順が変更になれば生産技術も加わるでしょう。
顧客へのクレーム対応はもちろん、営業担当者からも工場側に対する不満をぶつけられるのです。
品質保証部が無能だと、工場長や役員の負担が大きくなるため、上層部もなるべく社内外でうまく立ち回れる社員を品証へ配属させるのではないでしょうか。
まとめ
同じ会社であっても、それぞれの部門や部署において仕事の目的が異なれば、対立関係になりやすいです。
部門・部署間の対立は組織内のコミュニケーション不足や相互理解の欠落によって発生します。
トップダウン形式と言いながら、なにもフィルターをかけずにどんどん現場へ仕事を押し付けると、すぐに部署間の壁をつくり、仕事の押し付け合いが始まるでしょう。
部署間の仲が悪いと、会社に対する不安や不満も大きくなり、有能な若手や新人もどんどん離れていく要因にもなりますね。
組織の上長らは定期的なミーティングや情報共有の場を設け、円滑な業務ができるしくみづくりが重要です。
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