仕事や趣味において幅広い層に使われるテスターですが、みなさんは使った経験ありますでしょうか。
テスターが使えるようになると、電子部品の状態がわかるようになるため、点検や修理には欠かせません。
メカ部分は見たり触ったりで確認しやすいですが、電気の流れは目で見られませんからね。
なので、これから機械いじりを始める人は、テスターの役割と使い方を理解する必要があります。
今回はテスターの役割と使い方について初心者でもわかるよう簡単に解説していきますよ。
テスターの役割と使い方を知って、電気の状態がわかるようになりましょう!
テスターの役割

中学校の理科の実験の時、電流計や電圧計を用いて、電気回路の電流・電圧を測定したのを覚えていますか?
電流と電圧を測るだけなのに、それぞれ測定器が個別に分かれていたり、つなぎ方を変えたりとか準備がいろいろ面倒でしたよね。
我々ものづくり界隈で使用するテスターは一般的にマルチメータとも呼び、持ち運びが容易かつ1台で電流・電圧・抵抗など電気における様々な値を簡単に計測できます。
そのため、家の中で電子工作をしたり現場で配線作業をしたりする人にとって、テスターは必須アイテムと言えるでしょう。
テスターは写真のように大きく分けて2つ、アナログテスターとデジタルテスターがあります。
役割は同じですが、使う目的によってどちらが見やすいかが変わってきますよ。
アナログテスターの特徴
アナログテスターの測定結果は針先が示した目盛を読み取って判断します。
デジタルと違い、数字が表示される訳ではないため、針先に対し正面からよく観察しなければなりません。
また、計測中は針先が微妙に振れるため、細かい値を正確に読み取るのはなかなか難しいでしょう。
一方、針が振れるメリットとして、電流や電圧の変化がイメージしやすいです。
例えば車の運転席にエンジンの回転数を表すタコメーターがありますが、針先でアナログ表示してくれた方が、回転量がどのように変化しているかぱっと見てわかりやすいですよね。
電気も同じで、スイッチを入れた瞬間に生じる突入電流など、数値ではなく電圧・電流の動きを見みたいときはアナログテスターの方が使いやすいでしょう。
デジタルテスターの特徴
デジタルテスターは画面に数字が表示されるので、細かな値でも見た瞬間にわかります。
アナログテスターのように針先の振れ等を考慮して読み取る必要がないため、誰でも正確な数値を記録できますよ。
また、デジタルテスターの機種にもよりますが、画面のバックライトや導通チェックモードなどの機能も豊富にあるため、使い勝手が良いです。
テスターの使い方
「電圧と電流の他に何が計測できるの?」
「俺、間違った使い方してないよね…?」
テスターの使い方を間違ってしまうと、回路をショートさせて、取返しのつかない事態に発展するかもしれません。
そのため、初心者や久しぶりに使う方は正しい使い方を確認しておく必要がありますね。
ここからは、私が所有するデジタルテスターを例に、代表的な機能の紹介と使い方についてわかりやすく解説していきます。
それぞれ機能の役割と使い方を知って、正しくテスターが使えるようになりましょう。
直流電圧の測定

まずは、直流電圧を計測してみましょう。
その辺に9Vの角電池が転がっていたので、この電池(直流)が正常な電圧を出力しているかどうかを確認したいと思います。
テスター本体とつながっている赤と黒の棒をテスト棒(別名:プローブ)の接続先が写真のように、
- 黒いプローブがCOM(コモン端子)
- 赤いプローブが一番右側の赤い穴(測定端子)
となっているかを確認してください。
電流の計測以外、プローブの接続先は写真の状態で大丈夫です。
テスターの真ん中についているツマミ(別名:レンジ・ファンクション)を写真の記号に合わせましょう。
Vは電圧、横2本線は直流を表していますよ。
電池の±端子にそれぞれプローブを当てると、画面に「9.63V」と表示されましたので、9V角電池はとりあえず正常な直流電圧を出力していることが確認できましたね。
ちなみにデジタルの場合、プラスマイナス逆にプローブを当てると、「-9.63V」と表示されますが、アナログの場合0V以下は計測できません。
電圧計測中にプローブの先端同士が接触してしまうと、電池内部がショートするので絶対に避けてくださいね。
交流電圧の測定

家庭用コンセントに接続している電源コード(ACケーブル)を用いて、交流電圧の測り方もマスターしましょう。
プローブとテスター間の接続先を確認して、レンジを「V~」に合わせてください。
Vは電圧、波線は交流を表してしますよ。
2芯の家庭用電源ケーブルの場合は左右の穴にプローブを接続し、写真のような3芯のACケーブルの場合、真ん中はアース線なので無視して大丈夫です。
今回は「106.2V」と表示されましたね。
日本の家庭用電源は、一般的に交流100Vが出力されていますが、実際は101V±6Vの許容があるため、100Vを多少上回っても問題ありません。
ちなみに、直流はプラスマイナスの極性がありましたが、交流電圧は特に極性を気にしなくても値に影響はないので大丈夫。
交流電圧を測る時の注意事項は、直流電圧同様に計測中プローブ同士を絶対に接触さないことです。
ショートして火花が散って、家のブレーカーが落ちてしまいます。
周波数の測定

テスターによっては周波数の計測機能がありますよ。
先ほど、家庭用コンセントに接続した状態の電源コード電圧を測定しましたが、そのままレンジは「V~」に合わせた状態で、レンジの上にある「Hz(ヘルツ)」ボタンを押せば周波数測定モードに切り替わります。
この電源コードからは50.00Hzの交流100Vが出力されていますね。
つまり東日本にいることが特定されてしまいました。
テスターで周波数を計測する機会は少ないですが、ついでの機能として覚えておきましょう。
抵抗値の測定

その辺にあったカーボン抵抗の抵抗値をデジタルテスターで測ってみましょう。
レンジを「Ω」の位置に合わせますが、デジタルテスターの種類によっては、今回のように音がなるブザーモードと同じ位置に配置されています。
どちらも抵抗値を測るモードですが、回路や部品の抵抗値を記録する場合に選択するのは基本的にΩ(オーム)モードです。
レンジの上にある「SELECT(セレクト)」ボタンを押して、抵抗とブザーモードの切り替えられますよ。
まず抵抗値の計測前に赤と黒のプローブ同士を接触させて0Ωと表示されているかどうかで、テスター側にずれがないかを確認します。
確認後、回路上の電源は遮断した状態で計測したいポイントへプローブで当ててください。
抵抗のカラーコードは1.2kΩの許容差±10%に対して実測値が1.189kΩだったので、スペック通りということが分かりました。
ちなみにデジタルテスターの場合は数字の後に「kΩ」か「MΩ」と表示されるので、桁数を誤解しないように注意してくださいね。
導通チェック

レンジを「Ω」の位置に合わせ「SELECT(セレクト)」ボタンでブザーモードへ切り替えられます。
このブザーモードでも抵抗値は測れますが、こちらの機能の目的は、
- 断線していないか
- 正しくつながっているか
など配線や接点の電気接続のチェック(導通試験)をするに便利です。
回路が導通するということは限りなく内部抵抗値が0Ωに近いということ。
抵抗値の計測結果が数十Ω以下の場合、テスターからブザー音が鳴りますので、表示画面見ずともブザーが鳴ったら「導通OK」と音で判断できますよね。
ただし、導通において何Ωまで許容されるかは電気設計次第なので、ブザーが鳴らないから繋がっていない(絶縁状態)と断定はできませんので注意してください。
例えば、今回のように0.7Ω程度ならすぐブザー音が鳴って「導通している」と判断できますが、数百m以上の長いケーブルの場合はどうでしょう…
内部抵抗が生じて50Ω程度となり、テスターによってはブザーモードで音が鳴りませんので、問題なく導通しているけど、ブザーが鳴らないとう現象が発生するかもしれません。
導通チェックモードは便利な機能であり、テスターの中でも頻繁に利用するので、ぜひ覚えておきましょう。
静電容量の測定

電解コンデンサの静電容量を測定してみましょう。
静電容量を測定するときは、レンジをコンデンサ記号に合わせます。
コンデンサを計測するときは、回路上の電源は必ずOFFにしてください。
また、電解コンデンサ内に溜まった電荷が邪魔なので、抵抗などを挟んで放電させましょう。
あとは、コンデンサの両端にプローブを当てて静電容量を計測していきますよ。
単位は「211.7μF」と表示されましたが、単位は「マイクロファラッド」と呼びます。
だから何と思うかもしれませんが、経年劣化や過電流などによって静電容量が低下していないかのチェックが可能です。
使用頻度は低めですが、基板回路の故障原因を深堀するようになると使いますかね。
直流電流の測定

テスターを使った電流の測定方法はプローブの接続先と負荷の有無に注意してください。
直流電流の測り方は、レンジをAに合わせ図のように電源と負荷の間にテスターを中継させた回路を作って測定しましょう。
今回は負荷としてファンを繋げていますが、無負荷状態で電池のプラスマイナスにテスターを繋げるだけだと、電池がショートして非常に危険です。
プローブのテスターへの差し込み口は今までと異なり、赤いプローブをアンペアを示すAの差し込み口に必ず変えてください。
計測する値が予めミリアンペア以下の小さい電流だとわかっていれば、「μA・mA」の差し込み口につなぐことでより細かく計測ができますが、振り切れるとテスターが壊れます。
また、電流モードのまま電圧を測定すると、テスターが壊れる原因になるのでこちらも注意です。
テスターの使い方で共通する注意点
テスターの使い方についてそれぞれ機能別に解説していきましたが、共通する注意点は以下の通りです。
- 測定前にプローブ同士接触させた状態で抵抗値が0であるかを確認(テスターの始業前点検)
- 測定中にプローブ先端の金属部分は手で触れない
- 測定中にプローブ同士を接触させない
- 測定後はデジタルテスターのレンジは必ず電源オフにする(電池すぐなくなる)
正しい数値が拾えなかったり、回路がショートしたりと、テスター初心者がよくやってしまう事例なので気をつけましょう。
まとめ
テスターは電気の状態を把握するために欠かせない必須アイテムです。
特に電圧測定・抵抗値測定・ブザーモードでの導通チェックは、頻繁に使いますよ。
テスターの使い方を間違えると、テスター本体の故障や基板の回路をショートにつながります。
特に電流(アンペア)を測る際は、つなぎ方を間違えやすいので、測定前によく確認してください。
テスターが1台あると電気回路の勉強や電子工作など多くの場面で役立ちますので、電気が苦手な方でもぜひこの機会に使い方をマスターしておきましょう。
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