【工場のレイアウト】4つの目的から考えて最適化を図る

レイアウトの最適化を図る 工場勤務

工場のレイアウト変更って大変ですよね。

重たい装置を動かしたり、床のラインテープ剥がしたりで腰がやられてしまうのは、工場勤務あるあるです。

みんなが大変な思いをしてまで行う一大イベントですから、

「レイアウト変更して良かったね」

と言える結果までもっていきたいところ…

工場のレイアウト変更を成功させるためには、レイアウトの原則を知って目的をはっきりさせることが重要です。

今回は工場のレイアウト変更するときに考えておきたいポイントについて簡単に解説していきます。

小集団活動などで、作業場レイアウトの最適化を任された現場リーダーはぜひ参考にしてくださいね。

工場のレイアウト変更とは

工場のレイアウトとは、工場内にある、

  • 作業台や通路
  • 旋盤やNCフライス装置などの加工設備
  • 部品を保管する棚

などの配置を指します。

工場のレイアウト変更とは、人員の入れ替えや新しい機械の導入など、環境変化に合わせ従来の配置場所を変える改善活動です。

現場の一区画からフロア全体まで、レイアウト変更の規模はまちまちであり、目的によって進め方は変わるでしょう。

レイアウトの最適化を図るために考えたいポイント

工場のレイアウトはどのようにして決めていくのでしょうか。

目的が不明確のまま、なんとなく現場のレイアウト変更を実施してしまうと後になって、

「以前のレイアウトの方が良かったのでは?」

という悲しい結末を迎えてしまいます。

工場のレイアウトを最適化するためには、

  • 作業効率の向上
  • 安全性の確保
  • 品質の向上
  • スペースの有効活用

以上4つの目的からアプローチしてみましょう。

ここでは、目的別にどんなレイアウト変更が最適なのか例を挙げて紹介していきますね。

工場のレイアウトに悩んでいる方はぜひ参考にしてくだい。

作業効率の向上

動線を意識したレイアウト

現状の作業台や部品の配置場所は、作業しやすいベストな位置に設置されているでしょうか。

  • 製造現場を行ったり来たり歩き回っている時間が長い
  • 工程内における物の受け渡しルートが遠回り

このような無駄な時間が発生してしまうレイアウトは早く改善し、作業効率を上げる必要があります。

まずは、作業効率を高めるレイアウトの基本要素を4つ紹介していきますね。

効率の良いレイアウトを考えて生産性を上げましょう。

作業の流れに沿った配置

工程の流れに沿ったレイアウトを考えてみましょう。

工場では、加工→組立→検査→梱包という具合にそれぞれの工程別に作業場所を分けるのがほとんどです。

一連の手順に沿った配置にすれば、余計な待機時間や移動時間を削減できます。

レイアウトの最適化を考えるには、前後の工程は隣同士で配置するなど、工程間の距離を無くすのが基本となりますよ。

作業者の動線を最短にする

製造現場における動線とは作業者が移動する経路や作業中の動きを指します。

部品を取りに行ったり、次工程に製品を渡したりする移動距離を短くできると、その分無駄な時間が省けますよね。

移動距離を最短にするだけでなく、作業中におけるわずかな手や足の動きも積み重なれば生産数に大きく影響するため、一つの作業の中でも常にベストなポジションを考えていきましょう。

例えば

  • 手の届く範囲に工具や部品を配置する
  • 屈む回数を減らすために作業台の高さを調整する
  • 動線を妨げる障害物をなくす

などちょっとしたレイアウト変更も有効となるでしょう。

生産ラインの最適化

生産ラインのレイアウトの最適化を考えたときに、製造するものや工場の規模によっても変わります。

  • ライン型
  • ジョブショップ型
  • U字ライン型
  • セル生産方式

など生産ラインには様々な種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在しますよ。

生産技術や製造の社員は、会社の方針や経済状況などの変化に合わせて、生産ラインの見直しが必要となりでしょう。

部品や材料の配置

生産には欠かせない部品や材料は、必要な時にすぐ取り出せるような配置になっているでしょうか。

材料を運ぶ時間や棚から部品を探す時間などは無駄な工数と言えるでしょう。

例えば、

  • ラベルや色分けをしてどこになにがあるのかを明確にする
  • 使用頻度の高い部品は手前に配置する
  • フォークリフトがスムーズに通れる通路を確保する

などのレイアウト変更も効果的です。

定期的に収納方法を見直すと、いろいろ改善点が見えてきますよ。

安全性の確保

安全性を確保したレイアウト

工場は危険な作業や機械が稼働しているため、安全環境を万全にする必要があります。

次は、工場の安全性を高めるレイアウトの基本要素を4つ紹介していきますよ。

安全性を考慮するためには、基本的にどのような視点でレイアウト設計をすれば良いのかを考えていきましょう。

危険物エリアの区分

自社の工場内で安易に立ち寄ってはいけない場所を挙げてみましょう。

例えば、

  • 危険な化学物質を取り扱う作業
  • 触るとやけどするような高温設備
  • ほこりや粉塵が舞うような作業

など様々な作業エリアがありますが、明確に危険エリアとして区分けされているでしょうか。

周囲への影響を最小限に抑えるためにも、他の作業エリアからしっかりと区分けし、警告表示を設置します。

視界の確保

視界が悪い交差点や急コーナーは作業者同士の衝突事故に繋がります。

特に、背の高い棚が並んでいる倉庫などはピッキング作業者とフォークリフトが頻繁に動き回るため危険です。

基本的には安全性を確保するためにも周囲が確認できるように視界を遮らないレイアウトが必要となってくるでしょう。

死角になってしまうような箇所には、目視確認できるコーナーミラーを設置するのも有効ですね。

安全ガードの設置

稼働中の機械などによる巻き込み事故は絶対にあってはいけません。

特に、ロボットアームや大型自動加工機などの可動域に人が立ち入ってしまう環境は非常に危険です。

人が簡単に侵入できないように、進入禁止エリアには移動式の壁やフェンスを使用し安全ガードを設置しましょう。

温度や湿度の管理

工場内の温度と湿度は、作業員の安全性と品質の両方に関係します。

熱すぎたり寒すぎたりなどの極端な温度の作業環境では、従業員の健康面に被害をもたらす他、集中力が低下し生産能力にも影響してしまうでしょう。

例えば、機械同士が密に稼働する空間は熱がこもりやすくなるため、ある程度の間隔をあけて設置する

などの配慮も必要です。

品質の向上

品質向上を目的としたレイアウト

製品の品質維持・向上させるためには、工程内のプロセスや作業環境の最適化が重要です。

つまり工場内のレイアウト次第で、品質を左右することにもなります。

ここからは、品質向上を目指すための工場レイアウト案を3つ紹介していきます。

どんなレイアウト案が品質向上に有効なのか見ていきましょう。

品質検査のための専用エリア

工程内で品質検査を行うエリアを確保して、次工程に製品を渡す前にチェックできるしくみを整えます。

組立から検査までを同じ作業台で同じ人が一連作業でやってしまうと、判断基準がゆるくなり不良個所を見逃しやすくなりますからね。

また、問題が発覚してもその場で手直しして終わってしまい、原因究明ができません。

製造と検査でエリアをきっちり分けることで、業務にメリハリがつき品質問題があった場合の修正と是正対策が取りやすくなるでしょう。

不良品の行き先

工程内で不良品が発生した場合の行き先を考えておきましょう。

不良品が通常の生産ラインと混同して出荷されてしまっては大変です。

そんなことはあり得ないと思ってしまいがちですが、

「後で直すからとりあえず近くの机に置いておこう」

と保留にした不良品が、何も知らない別作業者によって生産ラインに戻されてしまったという事例をよく聞きます。

他の製品に影響を与えないように、不良品エリアとリワークエリアもレイアウトを決める際に考えておきましょうね。

清潔な作業環境

品質問題が発生し、製造現場の担当者にヒアリングすると、

「私はそんなミス絶対にしない!おかしいなぁ…」

と主張される方がいますが、作業場が工具や帳票類、作業に関係ないものが乱雑に置かれていると、まったく説得力がありません。

汚い職場は品質に悪影響をもたらします。

  • 塵や埃で直接製品を汚してしまう
  • ものが乱雑に置かれていることによりヒューマンエラーを誘発

このようなことが発生しないためにも、レイアウト時に5Sが行き届くようなしくみや作業者が快適に作業できる環境を整えましょう。

腐食

スペースの有効活用

スペースを有効活用したレイアウト

「私たちの工場は元々狭いから何とやろうとしても無駄…」

など最初からあきらめていませんか?

狭い工場だからこそ、製造社員はレイアウトの最適化を考える必要があります。

最後にスペースの有効活用をするためのレイアウト案を3つ紹介します。

スペースの有効活用し、少しでも可能性を広げましょう。

垂直空間

棚やラックを垂直に配置して空間を有効活用しましょう。

部材の入庫時に載せてきた台車をそのまま工場内で保管していませんか?

部材置き場がダンボール1箱ずつ床に並べているようなレイアウトでは、すぐに床面積を圧迫させてしまいますよね、

収納スペースは平面に置くだけでなく、棚を用いて立体的に考えていくのが基本です。

ラインの柔軟性

市場の需要変動や経営陣の方針によって、在庫数や生産する機種が大きく変わります。

このような変化に対して都度レイアウトを変えるのは大変であるため、移動可能な設備やモジュール式のラインを採用しましょう。

また、専用作業台よりも生産性は劣りますが、1つの作業台で異なる機種やサイズにも複数対応できる多能工型の作業台を導入することで、現場のスペースを有効活用が可能です。

通路幅の見直し

工場や倉庫の床面積半分近くが通路として利用されているそうです。

通路幅を少し見直すことで、スペース拡大に大きく貢献できますよ。

  • フォークリフトなどが出入りしないような通路は幅を狭める
  • 移動式ラックを採用し棚と棚の間の通路を削減

など工場内に無駄な通路がないかを今一度見直してみましょう

ただし、やりすぎると安全衛生のルールや避難経路に影響が生じるので注意が必要です。

まとめ

工場のレイアウト最適化は、

  • 作業効率の向上
  • 安全性の確保
  • 品質の向上
  • スペースの有効活用

以上4つの目的から考えていきましょう。

限られたスペースを最大限に活用し、工場の生産性を向上させるには、柔軟性と動線を意識したレイアウト設計が必要です。

工場内のレイアウト変更を行う際は、従業員含め課題を明確にして、変更前と変更後でどのように変わるのか情報を共有しておくのも大切ですよ。

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