【位置決め】機械組立における簡単な面合わせ方法

組立の時面の意識できてる? ノウハウ

ものを組む際に、完成品の仕上がり面(ツラ)の位置を意識していますか?

位置決めを意識していない初心者の方が組立した製品は、たいてい面の位置が傾いており、後々の仕上がりに影響が生じますよ。

面(ツラ)がでていない仕上がりは、組立作業者としての技能を疑われてしまいます。

細かな位置ずれは積み重なると大きく性能として表れるため、ものづくりにおいて部品の位置決めは非常に重要です。

今回は当て板を使って簡単な面合わせ方法を紹介していきます。

組立時に面を意識して、完成度の高い製品を作り上げましょう。

面合わせとは

面合わせが必要

機械組立における面合わせとは、部品同士を正確に接触させ、狙った位置で固定する工程です。

例えば、上図のような黒と茶色の部品を六角穴付きボルトで2点止めするとしましょう。

2本のネジを固定した後、黒と茶色の部品同士の面に傾きが生じ、段差ができてしまっているのがお分かりでしょうか?

これは面合わせが出来ていない極端にダメな例です。

機械組立において面の位置決めが出来ないと、

  • 摺動部の摩耗増加
  • 振動、ガタツキの原因
  • 外観寸法のバラツキ

など、徐々に積み重なった狂いが、後々の性能や品質面に影響を及ぼしますよ。

面が合わない原因

面がずれる原因

一般公差内で仕上げたネジの穴寸法などは、実際にネジを挿入するとわずかな遊びが生じます。

ネジ穴の遊びが大きいほど部品同士の位置決め可動範囲が広くなりますよね。

上の写真のように六角レンチを使ってネジを締めようとすると、締結方向に部品も回転しようとします

つまり狙った位置で締結するためには、決めた位置で両方の部品ともしっかり固定し、締結力に負けないようにしなければなりません。

そもそも組立で位置決めしてほしいポイントには

  • 皿ネジ加工
  • 位置決めピン
  • 位置決め用の段差

などを設けるのが一般的ですが、設計者の都合でそうならないケースもあるあるです。

面合わせの方法

「位置決めピンがない場合、どうやって真っすぐ組み付けるの?」

「簡単に面だし調整する方法を知りたい!」

実際の作業者はどのようにして面と面を綺麗に位置決めしているのか気になりますね。

面合わせの方法には、治具を使用したり、手作業で微調整したりする方法がありますよ。

部品の素材や形状に応じて、適切な技術を選択することが重要です。

ここでは、図面上特に指示がなくても、このくらいはやっておきたいレベルの位置決め方法の手順を紹介します。

簡単ではありますが、注意するポイントなどもあるので、ぜひチェックしておきましょう。

当て板の準備

当て板の準備

当て板治具なんて言い方もしますが、直線直角で平らな板を2枚用意しましょう。

基準面をだすための当て板なので、歪んでいたり、ネジ穴などで少しでもバリや凹凸がある板は、ガタつく原因になるのでなるべく避けてください。

石定盤等が理想ですが、特になければこの2枚の板で直角を作り突き当てて組立ていきます。

ネジの仮止め

ネジの仮止めとは、ネジを軽くタップに通すだけで本締めしない状態を指しますが、ここでおすすめする仮止めのコツは、ネジが締まるほんの一歩手前の状態の位置を維持させる方法です。

そうすることで、締結方向の遊びは最低限に抑えつつも、水平方向への遊びが生じるだけの仮締め状態になります。

あんまり遊びが大きい状態で位置決めしようとすると、後々やりにくいですからね。

L字の六角レンチで仮止めする場合のコツは、縦持ち(早回し)で力をかけずに突き当てまで締めて、わずかに逆回し(緩める方向)しますよ。

細かい技ですが、知っていると役に立つ仮締め方法なので、ぜひ覚えてください。

当て板に突き当て

写真のように当て板治具に向かってXY軸方向へしっかり押さえて面合わせを意識しながらネジを締めます。

この状態でのネジ締めはまだ軽く締めるだけで十分です。

感覚的には六角レンチで縦締めする程度のトルクですかね。

強く締めすぎると、支える力が負けてわずかながらに部品が傾いてしまうため注意しましょう。

本締め

当て板から離して一度位置決め(ツラ位置)の確認ができたら、本締めをしていきますよ。

前工程で少しでもトルクが加わっていれば、六角レンチで横締めする際に当て板を使わずとも、本締めのトルクで位置決めした部品がずれることはありません

当て板に突き当てたまま続けて本締めしても問題はありませんが、ネジを締めることに気をとられて、位置決めの固定が不安定になりがちな人が多いので、最初は位置だしと本締めは分けての作業をおすすめします。

面だしの確認

上の写真は面合わせする前と後の写真ですが、このレベルになると見た目で差は歴然ですよね。

面(ツラ)だしできたかどうかの確認は、求める精度によっては測定機器ではかる必要がありますが、特に指定がない組立の場合は、実際に連結部分を人差し指や柔らかいスケールなどで触れて確認してみましょう。

連結部分のわずかな段差でも突っかかるような感触があれば、再度ネジを緩めて位置決めを行う必要があります。

まとめ

今回は機械組立における位置決め作業の一つである面だしの手順を紹介していきました。

求める精度によって位置決め治具は必要ですが、ない場合は製造工程でなんとかするしかありません。

また、位置決め作業は今回のような人が手作業でやる場合に限らず、生産を機械で自動化する際も非常に重要なポイントとなります。

当て板の選定と固定方法の基本をしっかりマスターして、完成度の高い組立ができる製造現場にしていきましょう。

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