様々な電子機器や空圧機器を扱う装置メーカーに勤務していると、図面を見ながらノーマルオープンとかノーマルクローズといった言葉をよく使います。
現場の人は知ってて当然みたいな感じで話を進めるので、あまり馴染みのない営業さんとか新人エンジニアの方は戸惑ってしまいますよね。
電子機器と空圧機器でそれぞれ原理を理解していないと、勘違いしやすいので注意が必要です。
今回は、ノーマルオープンとノーマルクローズがどんな動きするのか、リレーや電磁弁を例にわかりやすく簡単に解説していきます。
本記事の内容を読んで、図面や部品を正しく扱える期待のエースになりましょう!
ノーマルオープン(N.O.)とは
ノーマルオープンとは、信号を与えていない(なにもしていない)通常時において、回路が開いている(オープン)状態を指します。
スイッチを押すなどして信号を与えると、回路が閉まる(クローズ)状態となり、それぞれ機器の制御が可能です。
部品などには、「N.O.」と表示されています。
ノーマルクローズ(N.C.)とは
ノーマルクローズとは、信号を与えていない(なにもしていない)通常時において、回路が閉まる(クローズ)状態を指します。
スイッチを押すなどして信号を与えると、回路が開く(オープン)状態となり、それぞれ機器の制御が可能です。
部品などには、「N.C.」と表示されています。
ノーマルオープンとノーマルクローズの違い
ノーマルオープン(N.O.)とノーマルクローズ(N.C.)の意味は理解できたでしょうか?
初期状態で回路が開いているか閉じているかの違いなので簡単ですよね。
しかしリレーの「ノーマルオープン=回路の遮断」のイメージが強いためか、電磁弁などの空圧機器を扱う際に間違える方がいます。
電気回路と空圧回路においてノーマルオープンとノーマルクローズの動作の意味合いが異なるため注意が必要です。
それでは、電子機器と空圧機器に分けてそれぞれ違いを解説してきますよ。
電子機器の場合
ノーマルオープンとノーマルクローズが関わる電子機器と言えば、リレーやスイッチ等が挙げられるでしょう。
電子機器で使われるノーマルオープンとノーマルクローズの意味合いは通常時に接点が開いているか閉じているかです。
押しボタンスイッチを例に動作をイメージしてみましょう。
ノーマルオープン(A接点)系の動き【押しボタンスイッチ】
何もしていないデフォルト時に接点が開いているため、電気は流れません(電源OFF状態)。
ボタンを押すと接点が繋がり、電気が流れて装置に火がはいります(電源ON状態)。
このノーマルオープン型の電気機構をA接点と呼びますよ。
A接点の使い分けとしては、機械の動作をスタートさせるための電源スイッチ類に選定されていますね。
ノーマルクローズ(B接点)の動き【押しボタンスイッチ】
何もしていなくても、最初から接点が閉じているため、電気は流れて装置が動いている状態です(電源ON状態)。
ボタンを押すと接点が開き、電気は流れません。
つまり動いていた装置がボタンを押すことによって停まります(電源OFF状態)。
このノーマルクローズ型の電気機構をB接点と呼びますよ。
B接点の使い分けとしては、非常停止スイッチなど緊急時に機械の動作を止める目的でよく採用されていますね。
空圧機器の場合
ノーマルオープンとノーマルクローズが関連する空圧機器と言えば、電磁弁が挙げられるでしょう。
電磁弁は電気と磁石の力により、流路を切り替える役割があります。
空圧機器のノーマルオープンとノーマルクローズの意味合いは通常時に弁が開いているか閉じているかです。
バルブの弁が開く(オープン状態)と言うことは、水道の蛇口を開くのと同じです。つまり…
2ポート電磁弁のしくみを例に見ていきましょう。
ノーマルオープン(NO弁)の動き【電磁弁】
図の「P」はエアーの供給を表しています。
ノーマルオープンの電磁弁は、最初から弁が開いた状態からスタートするため、加圧されたエアーがそのまま出口から放出されます。
電気信号が入ると弁が閉まり、エアーの通り道がなくなります。
つまり、流れていたエアーがスイッチを入れると止まるという動きです。
このようなノーマルオープン型のバルブをNO弁と呼んでいますよ。
ノーマルクローズ(NC弁)の動き【電磁弁】
ノーマルクローズの電磁弁は、通常時に弁が閉じているところからスタートするため、加圧しても弁が塞がったままエアーは流れません。
電気信号がはいると弁が開きエアーの流路が開通します。
つまり、スイッチを入れるとエアーが流れるしくみです。
このようなノーマルクローズ型のバルブをNC弁と呼んでいますよ。
まとめ
ノーマルオープンとノーマルクローズは、通常時の回路状態がどうなっているかで使い分けされます。
同じノーマルオープンでも、電気回路は遮断された状態がデフォルト位置となりますが、空圧回路は開通した状態でスタートするため、間違いやすいです。
電気は接点、空圧は弁の開閉状態で判断しましょう。
ノーマルオープン・ノーマルクローズの意味合いは電気と空気圧で勘違いしないように注意しましょうね。
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