「みんなで徹底しよう5S活動!」というスローガンを掲げた工場を良く見ますが、なかなかうまくいかない現場も多いのではないでしょうか。
上司に指摘されても、「時間がない」「場所がない」を理由に後回し…
特に専門的で難しい課題を押し付けられて訳ではないのに、なぜか嫌気がさしてしまいますよね。
5S活動自体が無駄だと感じてしまうのは目的を理解していないからです。
今回は5S活動が続かない理由と定着させるための取り組みについて半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単に分かりやすく解説していきます。
本記事を読めば、失敗しない5S活動を取り組むことが可能となるでしょう。
【復習】5Sとは
5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの要素から取り組む改善であり、最終的な目的は会社一丸となって取り組み、会社や従業員、株主に利益を生み出すことです。
それぞれの要素がもつ意味は以下の通り。
- 整理…いる物いらない物に分けて、いらない物は即刻処分をすること
- 整頓…いる物を使いやすいように、ムリ・ムダ・ムラ(3M)のない置き場所を考えること
- 清掃…身の回りを綺麗に掃除したり、点検をすること
- 清潔…整理・整頓・清潔の状態を維持できる環境を整えること
- 躾…職場の人間に自発的な整理・整頓・清掃・清潔の4S活動を習慣づけさせること
5Sが続かない・うまくいかない理由
「一時的にはよくなるんだけど、すぐ元通りになるんだよね…」
「改善して良くなったはずなのに、作業者からは不評」
5S活動を通して、本当に従業員一同が「やってよかった」と心から思っているでしょうか?
成果につながらない5S活動はやっても無駄です。
ここでは、5Sが続かない・うまくいかない理由について5つ紹介していきます。
5Sが定着しない原因を知って現場の5S活動をもう少し見直してみましょう!
目的がずれている
「職場を掃除して綺麗にすること」は「清掃」なので、これだけでは5S活動にはなりません。
例えば表向きは綺麗でも、
- 物の配置が実作業とマッチしていない
- 似たような工具がまとめられていて、ぱっと見区別がつかない
などをされてしまうと、実際作業される方にとっては非効率と言えるでしょう。
これだと5Sの目的の1つである、作業の効率化に反してしまい、会社にとっても従業員にとっても利益を生み出せません。
躾(しつけ)が雑
躾と聞くと、教育と言いながら講師がムチでビシバシ叩いて対し厳しく指導したり、叱ったりするイメージがありますが、そんな意味合いではありません。
実際やっていたら5Sに対する部下のモチベーションが下がる一方です。(そんな上司いないと思いますが…)
躾は整理・整頓・清掃・清潔(4S)を「みんなで習慣化していこうぜ!」的な意味合いで使います。
そこには役職は関係ありません。
トップダウン形式で一方的に部下へ押し付けるのではなく、全員で情報共有し、上層部にも決められたルールを守ってもらう必要がありますよ。
現場のやらされている感
「どうせ誰かがやってくれるだろう」
「言われたらその通りに動けばよい」
5Sに限った話ではありませんが、改善活動は個人の主体性だけは成功しません。
手段が目的になってしまう危険性がありますよ。
評価しない
現場で5S活動に対してノーリアクションは、従業員のモチベーションが下がります。
どのくらいの利益を生み出したのか、どう変わったのかきちんと成果が見えてこないと、
「やってよかった、これをみんなで維持していこう」
という意欲も湧いてきません。
忙しいから後回し
工場は納期に追われて時間がないことがしばしば。
「5S活動で忙しかったから納期がおくれてしまったんですね、しょうがない。」
なんて理由はもちろんお客さんに通用しません。
今は繁忙期で時間がないから、「来月こそ本気だす」と意気込みをみせるものの、やらない習慣が勝っていつの間にかフェードアウトするでしょう。
対策
「続けるためにはどうすればよいの?」
「どんなアプローチ方法があるかを知りたい!」
簡単に5S活動ってみんなは言うけど、継続させるのって結構大変なんですよね…
製造現場で5Sを定着させるにはどうすれば良いのでしょうか。
ここからは5S活動を継続させるための進め方を5つ紹介していきます。
チェックして、5Sが続く環境を少しずつ作り上げてみましょう!
勉強会
従業員全体で、勉強会を開催し、5Sに関しての共通認識を深めましょう。
- 5S活動とは何か
- なぜ5S活動が必要なのか
など5Sの目的を今一度みなさんで確認し、「5Sはただ掃除すること」ではないことを分かっていただく必要があります。
各企業の成功事例なども紹介すると良いかもしれません。
重役が率先する
社長や工場長自らの行動は、従業員に影響を与えやすいです。
実績のない上司が部下に対し5S活動を勧めても、
「自分たちができないことを下に押し付けるなよ!」
と不満を感じてしまうのは当たり前。
したがって、役職の高い管理職の方々が5S活動を率先していけば、従業員の意識も少しずつ変化がみられるでしょう。
現場のフィードバック
現場目線の意見というものは、非常に重要です。
「ここがやりにくい」
「こういう方法に変えられないかな」
など提案や気になった部分をリーダーへ情報をフィードバックするだけで構いません。
現場からの意見が5S活動の先にある真の成果へつながるカギとなるでしょう。
評価方法を検討
5S活動はちゃんとした業務です。
仕事の成果が表れているかを確認するためにも、評価は必ず行いましょう。
各職場においては、5Sレベル評価チェックシートをそれぞれ製作し、定量的に5S活動の評価をおこなっている企業が多いです。
「5S評価シート」とネットで検索すると、いろいろなフォーマットがでてきます。
まだ取り入れてない職場はぜひ参考にしてみてくださいね。
計画性を考慮
忙しい中でも5S活動を継続させるために、進め方には工夫が必要です。
現場のリーダーは日々の業務内容を考慮しつつ、5S活動のスケジュールをたてていきましょう。
「次はいついつやります」と毎回スケジューリングするよりかは、
- 毎朝何時から何時の間は5S活動に取り組む
- 毎週○曜日は5Sの進め方についての全体ミーティングを行う
と決めてしまった方が、習慣化しやすいですよ。
まとめ
5S活動は単なる掃除ではなく、工場全体の利益につなげるための現場改善活動です。
あくまで、成果を得るためのアプローチなので、手段が目的となってしまわないように注意しましょう。
成果につながらない5S活動は無駄であり、すぐに見直しが必要です。
5Sを定着させるためには、会社全体で取り組む必要があるので、管理職はくれぐれも現場だけに押し付けない。
また、現場もなぜ5Sをするのか目的をしっかり理解して協力しましょうね。
「やってよかった」と全員が思える5S活動になることを願います。
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