自動車整備や機械製造などのものづくりには欠かせない工具。
「工具なんて使えれば安いもので十分やろ!」
とか考えていませんか?
確かに昨今、ホームセンターや100円ショップなどに行くと、安価でそれなりに使える工具が一式揃うめちゃくちゃ便利な時代になりました。
ですが、これからものづくりで飯を食っていく覚悟を決めた機械エンジニアの方々には、それなりに良い工具を使ってほしいものです。
例えばですが、高級寿司屋の板前さんには、切れ味鋭い美しい一流の包丁で魚をさばいてほしいですよね。
そんな感覚で、ものづくり業界でも誰もが憧れる一流工具メーカーは存在しますよ。
本記事では、機械エンジニアが知っておきたい世界の有名工具メーカーを一部紹介していきます。
世界的に支持されている工具にはどんなブランドが存在するのかぜひチェックしてきましよう!
安い工具との違い
「ネジ締めるだけのドライバーなんて100均のと何が違うの?」
「高い工具使っている人って結局は自慢したいだけの自己満足でしょ」
確かに、完成した機械の仕上がりを見たときに、何の工具を使っていようが、結果良ければ全く気にならないポイントだと思います。
では、安い工具と高級工具の差って何なのでしょうか…
ここでは、安い工具と高い工具の違いについて4つのポイントに絞って解説していきます。
参考にして、違いの分かる一流のエンジニアを目指しましょう!
精度
安価な工具は、精度がガバガバな物が多いです。
精度が信用できない工具でものづくりして、一定の品質保てるかって聞かれるとちょっと心配ですよね。
特にトルクレンチなどの数値がでる工具は、それなりに安心できるメーカーで抑えておきたいところ。
また、締結するネジ頭とのあそびが大きかったり、ラチェットのあそびが大きいと作業性も悪くなるでしょう。
材質
安い工具と比較して高い工具は、表面に特殊な加工などを施しているため、強度やワークを掴んだ時の食いつき性に優れています。
また、ほとんどメッキ処理されているため、錆にも強いです。
一方で安い工具は、
- すぐ錆びる
- ニッパー等の刃先の切れ味悪い
- 工具側が負けて破損
といったリスクが予想されるでしょう。
使いやすさ
一時的に使うだけならまだしも、量産など日中工具を使うなら、機能性に優れた工具を使って効率よく作業をしたいところ。
例えば、
- グリップ性が良く握りやすい
- 軽くて滑らかな機構
などの機能性が挙げられるでしょう。
高価であっても使う頻度が高ければ、使いやすい工具を選んで少しでもストレスなく楽に作業することをおすすめします。
ブランド力
有名ブランドだとやはり信頼性が高いです。
また高価なだけあって、工具への愛着がわき、道具を大事に使う習慣がつきます。
「この工具使って何か作りたい!」
など、ものづくりに対するモチベーションも上がりますよね。
工具メーカーの選び方
工具一式を同じメーカー揃える人もいますが、工具ごとにばらばらのメーカーで購入される方も多いです。
では工具メーカーのどんなポイントに着目すれば良いのでしょうか。
また、工具メーカーによってどんな違いがあるのか気になりますよね。
ここからは、工具メーカーの選び方について紹介していきます。
メーカーの特色を知って上手く使い分けましょう。
生産国
有名工具メーカーは、海外だとドイツ、アメリカあたりに集まっています。
ドイツの工具メーカーはどこも歴史が長く、精密さと高品質な仕上がりで非常に評判の良いものばかりです。
アメリカの工具は高価であるものの、とても丈夫であり耐久性に優れたイメージがあります。
また、インチ規格にも適応した工具が多いと言えるでしょう。
どこの国でも工具は作られていますが、ブランド力で見るとドイツとアメリカに関しては世界中の工具ファンから圧倒的支持を得ていますね。
メーカーの特徴
メーカーによって得意分野の工具というものが存在します。
例えば、
- ペンチやニッパーなどの握りものが得意
- コンパクトサイズを求めるならここのメーカーが強い
- 工具の形や配色などのデザインが奇抜
などと言うように、工具メーカーにもテーマやユーザー層の特色が分かれるのです。
どんな作業で使いたい工具なのかを前もってイメージし、作業分野に適した工具メーカーを選びましょう。
価格
有名工具メーカーの価格は、近所のホームセンターなどに売っている一般家庭で使うような工具と比較して、基本高めに設定されています。
ブランド工具の中でも価格設定はピンキリであり、工具箱やらなんやら全てハイブランドで揃えると余裕で予算オーバーしてしまうでしょう。
最初は使う頻度の高い工具だけこだわってみるとかして、無理のない範囲で選んでみてください。
保証
有名工具メーカーはアフターサービスがしっかりしているので安心です。
一定期間の保証期間を設けているだけでなく、メーカーによっては無期限で工具を無償交換するなど、かなり自信を持った品質保証をしていますよ。
値段が高くても長年使い続けるのであれば、保証期間の長いメーカーの工具がお得ですよね。
ただし、工具メーカーが保証対応を謳っていても、購入先によって対応できない場合もあるので、事前にチェックしておきましょう。
人気工具メーカー(ハンドツール)
「周りとは違うワンランク上の工具を使ってみたい!」
「プロが使う一流工具メーカーを知りたい!」
実際にどんな工具メーカーが人気なのか気になりますよね。
ここからは世界的にブランド力が高い人気工具メーカー10社を紹介します。
自動車・バイク好きや、機械マニアの方々に支持されている王道なところをピックアップしていくので、ぜひチェックしてみてください。
Snap-on(スナップオン)
スナップオンは、ソケットレンチを初めて販売したメーカーであり、1920年にアメリカで創業した人気工具メーカーです。
工具メーカーのパイオニア的な位置付けであり、誰もが一度は使ってみたいと思わせる魅力がスナップオンにはありますよね。
特にソケットレンチのラッチは非常に細かく、締結作業時のレスポンスの良さが直に伝わります。
全体的に価格は高めですが、無期限保証に対応しているため、一生安心して使えるでしょう。
HAZET(ハゼット)
ハゼットはドイツの工具メーカーであり、オートモーティブ系工具が出揃っているため、車やバイク好きな方々から熱い支持を得ています。
ハゼットの工具職人達による鍛造技術は、他メーカーが簡単に真似ができない工具大国ドイツならではの品質の高さが評判です。
水色の工具ケースやグリップ部分を見ると、ハゼットユーザーである事が一目でわかりますね。
市販されている工具の中でも、ハゼットのヘックスソケットは使い勝手が良く人気商品の1つと言えるでしょう。
KNIPEX(クニペックス)
世界を代表するドイツの握りもの工具専業メーカーです。
クニペックスの創業地が元々、鉄の産地から近いこともあって、工具に使用する材料へのこだわりが強いと言われていますよ。
刃物研削職人が培ってきた技術力により、切れ味鋭いニッパーや先端の仕上がりが細かいラジオペンチなどが電気配線作業時に重宝します。
プライヤー関連の工具だけはクニペックスで揃えるのもアリですね。
STAHWILEE(スタビレー)
スタビレーは1862年から創業するドイツの歴史ある総合工具メーカーです。
欧州ブランドで初めてトルクレンチを市販した実績があり、板バネを使ったトルクレンチは、低トルクであっても「カチッ」という感覚が作業者に伝わりやすく、オーバートルクの心配はいりません。
レンチ類の工具も決してごつくなく重量も軽い傾向があるので、細かい作業にも使いやすいでしょう。
ユーザー目線に立った実用性の高い工具が、スタビレーの人気の理由と言えますね。
Wera(ヴェラ)
Wera(ヴェラ)はドイツ生まれでチェコを生産拠点としているドライバー専業の工具メーカーです。
Wera(ヴェラ)のドライバーと言えば「クラフトフォーム」と言われる独特なグリップが特徴であり、しっかり手に食いつく握りやすい形状となっていますよ。
また、ビット先端はレーザーチップ加工を施してあり、なめたネジ頭にもしっかり食い込むようになっています。
握りやすいグリップと摩擦性を高めた刃先が、ネジ締め時に安心して力をかけられるため、締結作業がやみつきになるでしょう。
ドライバーに関しては絶対に間違いない超おすすめメーカーです。
余談ですが、Wera(ヴェラ)の工具は緑と黒のカラーリングから通称「仮面ライダー」と呼ばれ、工具ファンの間で親しまれていますね。
PB SWISS TOOLS(ピービースイスツールズ)
PB SWISS TOOLSとは、スイスを拠点とする一流工具メーカーであり、ドライバーを主軸に六角レンチやハンマー等が有名です。
鉄加工のノウハウを生かし開発されたPBスイスツールズ社独自の特殊合金は、適度なしなりと強度を維持した工具へと仕上がっています。
また、PB スイスツールズの工具と言えば、やっぱりレインボーのカラーリングですかね。
特にレインボー六角レンチセットは一目で使いたいサイズが分かるという視点で日本でも大ヒット商品となりました。
実用性以外にもトイザらスに売ってそうな可愛いくて親しみやすい色合いが、これまでの男っぽい工具のイメージを一変させ、新しいユーザー層にも人気を得たのでしょう。
BAHCO(バーコ)
鮮やかなオレンジ色と釣り針・魚のロゴが印象的なBAHCO(バーコ)は、歴史あるスウェーデンの一流工具メーカーです。
BAHCO(バーコ)の代名詞と言えばモンキーレンチでしょう。
モンキーレンチを初めて開発し世に広めためちゃくちゃ渋いメーカーであり、バーコのモンキーレンチは古くて状態が悪いものでも、ヴィンテージ工具として高値で取引されたりもしますよ。
モンキーレンチ以外にも、大型キャビネットはじめとするガレージツールが人気であり、おしゃれ工具で自動車整備を楽しむユーザーから高い支持を得ています。
FACOM(ファコム)
FACOM(ファコム) は、1918年にフランスで生まれた名門ハンドツールメーカーです。
自動車整備関連でスタートする工具メーカーが多い中、FACOM(ファコム) はフランス国鉄が最初の納入先である少し異色な経歴を持っています。
そのためか、自動車産業のみならず、電子機器や産業機器などジャンル問わず様々なものづくりユーザーから愛用されているイメージがありますね。
日本ではまだ浸透していないかもしれませんが、ヨーロッパではシェア第一位の総合ツールメーカーとして君臨するため、使いやすさや評判は言うまでもありません。
エレガントな形状でおしゃれな工具が一通りそろいやすく、中でもラチェットやスパナ関連が人気です。
KTC(京都機械工具)
はいきました、京都から生まれた世界へ誇る国産工具メーカーのKTCでございます。
アメリカ製のソケットレンチやバーコ社のモンキーレンチなど、海外の高品質な工具に影響された創業者が戦後の日本で「一流志向」をもったものづくりを進めていきました。
長年トヨタ自動車の搭載工具を供給しているため、トヨタ車同様に細部にまでこだわった工具が目立ちますよ。
世界一コンパクトで美しく強い工具を目指した結果、KTCの中でもワンランク上のブランドであるNEPROS(ネプロス)が誕生しました。
自宅や工場の工具をKTC一式で揃えていると、マジでかっこいいですよね。
MAC Tools(マックツールズ)
みんなが憧れるアメリカの工具メーカーといえばSnap-on(スナップオン)かMAC Tools(マックツールズ)に分かれるでのはないでしょうか。
特にMAC Tools(マックツールズ)は自動車、バイク好きからは圧倒的な支持をえている世界トップクラスの工具メーカーという印象があります。
シンプルな形状ながらも、過酷でハードな環境でも耐え抜くタフさが世界中の工具ファンから評判です。
ハンドツールに関しては永久保証が適応するので、貫通ドライバーなども安心してガツガツ叩けるでしょう。
まとめ
機械好きなら知っておきたい世界の有名工具メーカーを一部紹介してきました。
まだまだ紹介しきれていない有名工具メーカーはたくさんあります。
「うーん、安い工具で十分なんだよなぁ…」
といった意見も当然人によってあるでしょう。
安い高い関係なしに大事なのは、工具を大切に扱いその工具の価値がわかるかという点です。
工具に限った話ではありませんが、ものを大事に使い続けていると、いずれその物の魅力や他との違いが自然と伝わってくるものですよ。
ブランド工具は、そういったものづくりに対する大事な考え方や楽しさを、作業者へ与えるきっかけになるのかもしれませんね。
みなさんも本記事をきっかけに、好きな工具メーカーを探してみてはいかがでしょうか。
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