製造業に携わると、「4M(よんえむ)」という言葉がよくでてきますよね。
品質管理の打合せの時に、4M変更管理の話題をふられてもちゃんとついて行けてますか?
今回は製造現場で4M変更管理が重要視される理由について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単に解説していきます。
4M管理できているできていないは別として、工場勤務の社員で4M変更を知らないと周りからマウントとられるかもしれません。
そのくらい製造業では常識的な言葉であるため、4Mについて自信がない方は本記事を読んで、おさらいしておきましょう!
4Mとは

製造業における4Mとは、次の4つの頭文字からきています。
- Man:人(作業員のこと)
- Machine:機械(機械工具、設備機器など)
- Material:材料
- Method:方法
これらは品質管理において特に注目するべき要素であり、それぞれ複数の視点からよく考えてものづくりをしていこうぜ的な風潮が昔から製造業界に浸透していますよ。
なぜなら要素別に分けて深堀することで、問題究明や品質・コストの改善案が明確になりやすいからです。
では、それぞれの要素は一体何を指しているのでしょうか。
4M要素の詳細をチェックして、品質にどう関係してくるのかを理解していきましょう。
Man(人)
人は現場の作業者を指します。
人によって品質が左右されるとはどんなケースでしょうか…
例えば
- ベテランと新人のスキル
- 作業者の人数
- その日の体調
などが挙げられるでしょう。
人によっては仕事のスキル・性格・当日のコンディションが異なるため、現場作業者が常に一定の条件でものづくりができるかと言われるとかなり難しいですよね。
したがって、ものづくりにおける人の影響は大きいと言えます。
Machine(機械)
機械とは現場で扱う生産設備を指します。
人の手で作業するのではなく、加工機や工具を適切に使用することで、効率の良いものづくりが可能となるでしょう。
精密な動きで一定の動きをする機械でも、
- メンテンナスの実施
- 新しい装置に入れ替え
- 装置を動かす条件(パラメータ)
- 配置場所
次第で、仕上がりや作業工数に変化が生じますよね。
機械が正常に動いているかどうか、作業効率を高める使い方ができているかが重要です。
Material(材料)
材料とは、製品をつくるときに必要な原材料や部品などを指しています。
工場はものづくりの現場である以上、様々な材料の徹底した管理が必要です。
- 適正在庫数
- 先入れ先出し
- ロット管理
- 材料の保管方法
これらを怠ってしまうと、後工程へ進むほど被害が拡大するでしょう。
Method(方法)
方法とは製品をつくるときの方法・手順を指します。
同じ物を作ろうと思っても、組立手順や検査方法によって、製品の出来栄えや作業工数は変わりますよね。
また、生産体制も受注生産や見込み生産など様々あり、どんな生産方式が適しているかは工場によって変わるでしょう。
製品が完成するまでの流れ(工程)がスムーズ且つ、事故や不具合のリスクを十分に避けて考えられているかは、ものづくりにおいて非常に重要なポイントなのです。
4M変更管理とは

製造業おける4Mの要素は「人・機械・材料・方法」であることを理解できたでしょうか。
4Mにおける変化点をそれぞれ管理し、製品の不具合や万が一のトラブルにもしっかり対応できるものづくりの管理体制を4M変更管理と言います。
例えば
- 製造の作業者を入れ替えた
- 工作機械を増やした
- 材料の仕入れ先が変わった
- 組立の順番が変わった
といった4Mの変更点があるごとに、管理表やマニュアルに明記し、予想される影響や対策を事前に準備しておくのです。
4M変更管理の重要性
「4M変更が発生する度に報告書作成するの面倒くさい!」
「変化点を知って何かいいことでもあるの?」
4M変更管理の目的が明確にならないと、何をどこまで管理して良いかわからなくなりますよね。
製造業において4M変更管理はなぜ重要とされているのでしょうか…
ここでは、製造現場で4M変更管理が重要視される理由を4つ挙げていきます。
どんなときに役に立つのかを理解し、いざという時に対処できる体制を整えましょう。
課題抽出
4M変化点が把握できると、どの要素が変化すると生産にどんな影響がでるか明確になりやすく、効果的な対策を取りやすくなります。
例えば、ある時間帯を境に不良品が多発したとします。
作業日報を確認するとその時間帯で作業者が交代したことが分かりました。
これらの情報から、「作業者の入れ替わりが原因で不良品が増えた」と1つ仮説を立てることができますよね。
問題発生時の原因究明から改善点のアプローチに役立つのです。
品質の維持
4M変更管理ができると、どんな条件であれば一定レベルの品質が保てるのか判断しやすくなります。
4M要素別に条件が整うと、品質のバラツキを抑えることが可能となるのです。
一方で、4M変更管理を疎かにしてしまうと、不良品が多発してロス金額が膨大になってしまうか、顧客に不良品を納品してしまい市場クレームの発展につながるでしょう。
現場の事故防止
4M変更点の管理をしていれば、事故が発生した際にどんな条件で発生してしまったのかを把握できます。
事故当時の4M変更情報が分かれば、ヒューマンエラーに向けた未然防止・拡大防止・再発防止策の立案がしやすくなるでしょう。
「何をすると、どんな事故が発生するのか」が事前に分かっていれば、現場作業における安全面強化につながるのです。
トレーサビリティの確保
トレーサビリティとは、製品の製造工程や調達先の情報を記録し、追跡できるしくみです。
どこの業者からどのロットを仕入れ、どのような製造工程を経て、どこに出荷されたのかが明確になれば、後々製品に問題が発生した場合の処置がとりやすくなるでしょう。
トレーサビリティのメリットとしては、
- 工程内の歩留まり向上と市場へ流出防止
- 不良が疑われる製品の特定と迅速な回収
- 安全安心のブランドイメージ
などがあり、リスク管理を強化につながります。
追加された新たな要素

4M視点での考え方は昔から日本の製造業界において重要視されてきました。
今でも4Mベースの管理は基本となっていますが、時代の流れとともに、
「4Mだけでは品質管理難しいよね?」
みたいな風潮もあって、現場の管理方法も進化しています。
- 従来の4MにMeasurement(検査・測定)の要素を加えた5M
- 更にManagement(マネジメント)の要素を加えた6M
- 6MにEnvironment(環境)の要素を加えた6M+1E
などが挙げられるでしょう。
余談ですが、環境はどうしても「M」に置き換える言葉が見つからなったのでしょうね…
まとめ
4Mは製造における品質管理と安全性の向上につながる重要な要素であり、まずは何事にも4M視点で物事をとらえ課題を整理してくことが大切です。
予測可能なトラブルは4M変更管理にて流出防止が可能となり、予測外のトラブルは4Mで原因を特定し、再発防止策を考えていきます。
4M変更管理を行うにあたり、何から何まで情報を記録していくのは現場の負担となるので、これからはDX化やIoTを導入し、スマートな品質管理も検討する必要があるでしょう。
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