新年度がスタートすると、新入社員を対象とした工場研修を教育カリキュラムに取り入れる企業も多いのではないでしょうか。
「今度、製造現場で新入社員のOJT研修をやることになったから教育係頼んだよ!」
と上司から丸投げされて、時間ない中でちゃんと上手く新人の教育係が務まるか不安になる若手・中堅社員も多いと思います。
OJT研修って正直自分の仕事ができないし、やりたくないって思っちゃいますよね。
だからといって適当な対応をしてしまうと、期待をもって入社してきたはずの新人から嫌われてしまったり、最悪すぐやめる原因をつくってしまうかもしれません。
今回は、製造現場の新人研修で教える側が気をつけるべき最低限のポイントを、半導体製造装置メーカーで10年以上新人の教育係を担当してきたゆとり課長が、簡単に解説していきます。
本記事を読んで、新入社員からリスペクトされるカッコいい技能士になりましょう!
工場における新入社員教育の目的
「製造現場にOJT研修丸投げさせて何になるの?」
「工場勤務でない新入社員が製造現場で研修しても意味ないのでは?」
そもそも製造業における新入社員教育の目的ってなんなのでしょうか。
教える側が新人教育の目的を理解していなければ、確かにやる意味ないかもしれませんね。
工場で新入社員教育をする目的は大きく分けて3つあります。
新入社員教育を進めていく上で、新人はもちろん、教える側も目的を理解していきましょう。
社会人への意識改革
新卒の方は学生時代アルバイト経験はあっても、会社員としての経験はありません。
親の扶養から外れ自立するタイミングでもあり、学生から社会人への切り替えに苦労する方も多いでしょう。
- 毎日の通勤
- 挨拶
- 報連相
- 仕事の責任感
などの基本的なところから、工場研修中に少しずつ慣れていき、組織内の一員として自覚を持った行動をとれるようにしていきます。
安全作業への感性を高める
5SやISOの重要性は、座学だけではなかなか伝わりにくいため、工場内で実務するのが一番早くてわかりやすいでしょう。
- 危険な作業を実際に体感する
- 作業手順書通りに進めなかった場合どうなるかを考える
- 汚い製造現場をどう感じるか
このように、工場のルールがなぜ他の職場よりも厳しいのかを身をもって理解して、安全第一への意識を高めます。
テクニカルスキルの習得
製造現場を経験する事で得られる技能や知識はたくさんありますよ。
まず、ものづくりの基本的な考え方として、現場•現物•現実(3M)があります。
機械設計やITに関する知識がいくら豊富なエンジニアであっても、現場を知らないまま理論上で仕事を進めると必ず失敗するでしょう。
優秀なエンジニアへ育てるためには、現場•現物•現実の3M思考を身につける必要があるのです。
製造現場の新人研修で教える側が気をつけること
「新人教育中はどう接すれば良いの?」
「工場研修任せられたんだけど、指導方法がわからない…」
いざ教える側の立場になってみると、新人からどう見られるか不安になりますよね。
新人が安心して社会人生活のスタートをきれる為に、先輩として何を意識すれば良いのでしょうか…
ここからは、製造現場の新人研修で教える側が気をつけること5つ紹介していきます。
チェックして、自分の行動や考え方を改めて見直してみましょう。
放置しない
「指示がなくても自分で行動できるのが社会人として当たり前」
「自分の仕事がいっぱいだから、指導する時間ない」
などという考えで新人を放置するのはやめましょう。
自分で考える思考は確かに大事ですが、社会人として右も左も分からない状態で、最初からテキパキ現場の空気を読みながらを動ける人などいません。
何をして良いかわからない時間が長いほど、新入社員にとってストレスに感じてしまいますよ。
いきなり実務をやらせない
OJTだからといって、何も説明せずに仕事を丸投げするのはNGです。
「見て覚えろ」は短期間のOJT研修において非効率であり、事故を引き起こすリスクもあります。
単純作業を丸投げされた新入社員は、
「この工程ってなんの意味があるのだろう」
「注意点とかないのか?」
など、いまいち仕事の目的が理解できず、ものづくりの現場が苦痛に感じてしまうでしょう。
失敗を責めない
新人が仕事のミスをしたからといって、感情的に怒鳴ってはいけません。
怒っても相手がこちらに警戒心や反発心を抱くだけです。
- なぜミスが発生したのか
- どこを注意しなければならなかったのか
など明確に指摘し、失敗からの軌道修正をフォローしていきます。
教育する側は怒ると叱るの区別をきちんと理解していきましょうね。
職場の愚痴を言わない
期待をもって入社してきた新入社員を目の前に、
「君なんでこんなブラック企業に入社しちゃったの?」
「工場勤務って頭おかしい人ばっかりだし、正直しんどいよ…」
など、会社の悪口やネガティブな言動をする先輩がいたら、新入社員はどう感じるでしょうか。
冗談と捉えても不安が残ってしまいますよね。
コミュニケーションを深めるとは言え、言葉は選びましょう。
身だしなみや姿勢
いい大人が作業着をだらしなく着こなしたり、挨拶を怠って無愛想な態度をとっていると、当然ですが新入社員からの印象は悪くなるでしょう。
また、新人は先輩のダメな部分を真似する傾向があります。
「これくらいなら許されるのか」
「あの先輩もやってたから自分も…」
などルールやマナーを守る意識が低下し、悪影響を与えるきっかけをつくってしまうのです。
まとめ
新人教育は、新入社員だけが真面目に取り組むのではなく、教育する側も研修目的を理解し進めていく必要があります。
上司から新人教育を丸投げされてしまうと、
「自分のメリットにならなきゃ意味ないし、しんどいな…」
とつい面倒くさい気持ちになってしまうかもしれません。
今回紹介した気をつけるべきポイントを最低限におさえるだけで、会社における良き先輩社員として、周囲からの見方が変わりますよ。
自分が新人の立場であったらどんな指導方法が適切かを、今一度考えてみるのも良いでしょう。
OJT研修期間中は新入社員のスキルアップはもちろん、指導者側も仕事や組織に対する見方・考え方を見直すチャンスを与えてくれるのです。
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