【ケーブルタイ】結束バンドの使い方と注意点5つ

ノウハウ

ロボットや制御盤の配線を綺麗にまとめる結束バンド(ケーブルタイ)は、製造業の方にとって非常に馴染みのある資材です。

100均などでも市販されており一般家庭でも様々な使い方をされていますが、仕事で使用する場合、適当な使い方をすると先輩従業員や客先に怒られます。

現場で失敗してから

「基本作業なんだからこれくらい知っとけよ」

と指摘されるのって腹立ちますよね。

製造業、主に電子機器組み立ての分野において、結束バンドには正しい使い方が存在しますよ。

本記事では、製造業における結束バンドの使い方について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説してきます。

この記事を読んで、機械エンジニアとしてのスキルを磨いていきましょう!

結束バンドとは

結束バンドの名称

結束バンド(ケーブルタイ)とは複数のケーブルや電線を束ねるための配線材料です。

使う職場によっては、インシュロックやタイラップなどの名称で呼ばれていますが、これらは人気メーカーの商標名であって、基本的な性能は変わりません。

ロック機構がついたヘッド側に、内側のギザギザ(ノッチ)が施されているバンド先端を通すことで、徐々に締まりながらも逆方向には戻らずゆるみません

一度通したら戻らない使い捨てタイプと、ロックを外せば繰り返し使えるリピートタイの2種類が市販されていますよ。

結束バンドの使い方

「普通に縛って終わりじゃダメなの?」

「結束バンドの正しい使い方を知りたい!」

製造業のプロはどのようにして、結束バンドを処置しているのでしょうか…

ここでは、結束バンドの正しい使い方を締め方と外し方に分けて解説していきます

まずは使い方を知って、作業の基礎を身につけましょう。

結束バンドの締め方

正しい結束バンドの固定方法

ヘッド部の爪とバンド内側のギザギザが引っかかる構造になっているので、向きに注意しながら挿入し、「カチカチ」と爪とノッチ部分が引っかかる手ごたえがあるまで、締め付けます。

ヘッドに通して余った部分のバンドは残らないように根本から切断(フラッシュカット)していきますよ。

※一方でバンド部分を残して切ることをハイカットと言います。

ニッパーの刃先は平らな面をヘッドに真っすぐ当てて切ると綺麗な断面になりやすいです。

バンド切断後は切り口に軽く触れて、鋭利な部分や突っかかりがないかを確認しましょう。

結束バンド外し方

正しい結束バンドの外し方

再利用できるリピートタイはロック解除機能があるため素手で簡単にはずせますが、それ以外は基本的にニッパーで切断し外していきます。

もちろん、刃先で結束物に傷をつけてしまわないように注意が必要です。

コツはヘッド部分を破壊させるイメージでやると安全でしょう。

きつく締まった結束バンドは結束物との隙間がわずかであるため、細かい部分でも刃先が届きやすい細刃のニッパーがおすすめ。

どうしても再利用したい時の外し方

「出張先に交換用の結束バンド持ってくるの忘れた!」

「やばい、残り1本しかない…」

といったように、リピートタイではないワンウェイタイプの結束バンドをどうにかして使いまわしたいときもあるでしょう。

ニッパーで切断せずとも、精密ドライバーや安全ピンを使ってヘッド部の爪を持ち上げながらバンドを引っ張ると外れます。

ただし、爪がわずかに変形し結束バンド自体のロック性能や耐久性が弱まるため、メーカーが推奨しないあくまで応急処置的な技であることを理解しておきましょう。

注意点

製造業における基本的な結束バンドの使い方を紹介しました。

結束物を注意しながら余った部分のバンドをニッパーで切るだけなので、

「それだけ?簡単じゃん…」

「わざわざ記事で紹介するような内容ではないだろ」

そう思った方も多いのではないでしょうか。

結束バンドの使い方に関して注意するポイントは複数あって、これらが作業トラブルを引き起こす意外な落とし穴だったりするわけです。

ここからは、結束バンドの取り扱いに関する注意点を5つ紹介していきます。

注意点をチェックし、安全で精度の高い作業を身につけましょう。

バンド部分の切り口

ハイカットで処理された結束バンド

結束バンドは余った部分が残っていると作業ミスとみなされます。

例えば、

  • 結束後バンド先端がそのまま残っている(カットし忘れ)
  • 結束後バンド先端の切断処理がわずかに残っている(ハイカット)

といったミスが実際ありますね。

ハイカットがダメな理由は、バンド先端の鋭利な部分が配線の被服を傷つけてしまったり、切り口に手を引っかけてケガする危険性があるからです。

作業後は切り口に余った部分(鋭利な箇所)がないかを必ず確認しましょう。

締めすぎ

結束バンドをしめすぎて潰れてしまった配線

結束バンドは締めすぎると、結束物にかなりの力が加わります。

負荷をかけすぎると、ケーブルや配線の断線、または被服が裂けて心線同士ショートするといったトラブルが発生するでしょう。

フレームなどのメカ部品に括りつけても、締めすぎが原因で結束物が壊れてしまう力は十分に秘めています。

ゆるまないように、締めすぎくらいが丁度良いと思ってしまいがちですが、適度な力で抑えておきましょうね

再利用

繰り返し使えるリピートタイを除き、結束バンドの再利用は基本NGと考えておいた方が安全です。

強制的に精密ドライバーや安全ピンでロックの解除は可能ですが、爪が歪みやすく内側ギザギザ部分とのロック性能が低下するリスクがあります。

一時的に固定できても、耐久性がなくなりゆるんでしまう恐れがあるため、ワンウェイタイプは大人しく使い捨てましょう。

電源OFFは基本

装置内で配線作業をする時は必ず電源を落としましょう。

ニッパーの刃先などが触れた瞬間、感電やショートといった事故の原因となります。

大きな装置を複数人で作業する時は、必ず声を掛け合って電源を切り替えるよう注意が必要です。

カット後は飛散する

結束バンドをカットした後の切れ端

爪切りで爪を切ると、ものすごい勢いで飛んでいきますよね。

結束バンドも同じで、外す時にニッパーで切断すると、ヘッド部分やバンドの切れ端が飛んでいきます

  • 作業者の目に入る
  • 製品への異物混入

などの事故につながりますよ。

予め飛ばないよう、袋で覆ったり、ラジオペンチなどで抑えておく必要があるでしょう。

まとめ

製造業で結束バンドを使う時は、綺麗かつ安全を考慮した使い方をしましょう。

正しい使い方ができないと、見栄えが悪い他、怪我や故障にも繋がります。

特に電子機器組み立ての分野においては、切り口の細かいところも厳しい目で見られますよ。

一流の技能士目指して頑張りましょう!

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