【あなたはどっち派?】先入れナットと後入れナットの違い

ノウハウ

ミスミだけでなくホームセンターでも簡単に入手しやすくなったアルミフレーム。

アルミフレームで使うナットは大きく分けて「先入れ」と「後入れ」の2つありますが、組立で圧倒的に人気なのは後入れナットです。

「先入れナットで設計するなよ!」

「なぜ製造は先入れナットを嫌がるの?」

製造者と設計者でこんなやりとり多いのではないでしょうか。

アルミフレームで使用するナットには、それぞれに特徴が異なるため、目的別に上手く使い分ける必要があります。

今回は先入れナットと後入れナットの違いと使い分け方について半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説してきます。

この記事を読んで、違いの分かるワンランク上の機械エンジニアを目指しましょう!

先入れナットと後入れナットの違い

「先入れナットと後入れナットって何が違うの?」

そもそもどんな特徴があり、何が違うのでしょうか…

まずは、挿入方法と入れた後の様子をそれぞれ比較していきます

先入れナットと後入れナットの特徴を抑えましょう。

挿入方法

先入れナットと後入れナットの挿入方法の違い

先入れナットと後入れナットはどちらも使用する向きは同じで、アルミフレームの溝に入れて使います。

「先入れ」「後入れ」は言葉の通り、溝への挿入方法が異なりますよ。

先入れナットはアルミフレームの端からしか出入りできませんので、端が塞がる前に入れておく必要があります。

後入れナットは幅が一回り小さくできているため、端以外にも上から嵌めるようにして溝へ挿入できますよ。

アルミフレームへ入れるタイミングに縛りがない後入れナットの方が使いやすそうですね。

アルミフレーム溝とのあそび

アルミフレームへ挿入した先入れナットと後入れナットを断面から見た様子

アルミフレームの溝へ挿入したナットの断面をそれぞれ見比べてみましょう。

後入ナットの方が一回り小さいため、溝との空間が大きく、あそびが大きい(溝内でガタガタ動く)のがわかります。

特に注目したいのが、締結した時のナットとアルミフレームの接触面です。

写真の向きから見ると、後入ナットの方がアルミフレームとの掛かりが浅いですよね。

したがって、先入ナットの方が溝内にあそびなくしっかりとはまり、ネジを締め込んだ時に安定しますよ。

使い分け方

先入れナットと後入れナットの形状比較

「違いは分かったけど、どう使い分ければいいの?」

「全部後入れナットに設計してはダメなの?」

どうせ使い分けるなら、両者のメリットを生かしたいところ…

ここからは、先入れナットと後入れナットのメリットをそれぞれ紹介していきます。

メリットを把握して、上手く使い分けていきましょう。

先入れナットのメリット

締結時の座面が広い特徴から、以下のようなメリットがあります。

確実な締結

後入れナットは溝とのあそびが大きい分、締結時に傾いてしまったり、最悪フレーム溝から脱落してしまう危険性があります。

先入れナットはメンテンナス性が不便というデメリットがある一方、良い意味で溝へ挿入してしまえば外れない(脱落しない)ため、安全で確実なネジ締めが可能となるでしょう。

強度が安心

同じ大きさ(長さ)で比較した場合、接触面積が広い先入れナットの方が強度は高いと言えるでしょう。

だいたいの後入れナットが先入れタイプよりもより長方形になっている(長い)のは、強度を確保するためです。

後入れナットを使用する場合は、幅が狭い分アルミフレームとの接触面積を考慮する必要があるため、適当に選んでしまうと強度が低下する恐れがあります。

後入れナットのメリット

使い勝手が非常に良い後入れナットは、以下のような効果が期待できます。

いつでも挿入・取り外しができる

途中で設計変更になったり先入れナットの入れ忘れが発覚して、分解が強いられた時の現場の負担は非常に大きいです。

「えー!ここまで組んだのに…」

ナットを1つアルミフレームから取り除く(もしくは追加する)だけでも、ナットの挿入口を確保するために製品の骨格から分解しなければなりません。

後入れナットで設計しておけば、フレームを分解しないで後からいくらでも組立できるため、追加の作業が発生してもすぐ対応できるでしょう。

組立工数の削減

先にナットを入れる段取りがなくなるため、その分組立工数が早くなります。

また、ナットを入れるタイミング(組立順)も特に気にする必要がなくなるので、ユニットごとに複数人で分担しての作業がしやすくなるでしょう。

まとめ

アルミフレームに使用するナット、先入れタイプと後入れナットの2種類を紹介してきました。

特徴を以下の表にまとめます。

先入れナット後入れナット
組立精度
作業性×

先入れナットはあそびが少なく一定の組立精度が期待できますが、メンテナンス性が非常に悪いです。

後入れナットはメンテナンス性が非常に良いですが、組立時にナットが傾いて脱落しないよう作業者は注意が必要ですよ。

設計上特に理由がなければ後入れタイプをおすすめします。

とても小さな部品かもしれませんが、先入れから後入れナットへ変更するだけで組立工数が削減でき、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。

設計も製造もなぜその部品を選定したのかをよく考えて、良いものづくりへ繋げましょうね!

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