工場の配送部門の仕事内容について、半導体装置製造歴10年以上のゆとり課長が簡単にわかりやすく解説していきます。
出荷とは
工場の出荷とは生産した製品を工場の外へだすことです。主に配送センター、出荷管理と呼ばれる部門が出荷作業を担当するでしょう。
工場によっては配送センターを工場敷地内に設置せず、別建屋の物流倉庫などを中継してから出荷するケースもあります。
出荷された製品は、運送業者を経由して、それぞれ発注したお客さんの手元へ届きますよ。
配送の仕事内容
「工場の配送業務って普段どんなことをしているの?」
「出荷管理の流れを知りたい!」
これから工場の出荷作業に関わろうと検討している人は、前もって知っておきたいですよね。
ここでは、配送センターの仕事内容について5つ順番に解説していきます。
仕事内容を理解して、配送業務のイメージができるようになりましょう。
ピッキング
ピッキングとは、受注が入った製品を保管場所から持ってくる作業を指します。
資材管理が行うピッキングの対象物はメーカーから納められたの部品や加工品の単品です。
一方、配送がピッキングするものは、工場が生産した商品(完成品)となります。
大事な商品なので、扱いには十分注意して確実な出庫が求められるでしょう。
検品・集荷
受注案件の内容に沿った製品がきちんと用意されているかを確認していきます。
客先によっては、一回の受注でいろんな製品を頼まれるので、全ての製品が揃っているかを確認しないと、出荷漏れの原因となってしまいます。
出荷先へ正しい物を届けるためにも、ここの作業は慎重に行う必要があるでしょう。
梱包
製品をダンボール等に入れて、客先へ送るための荷造りをしていきます。
ただ箱詰めするだけではなく、品質保証を考慮した梱包が重要です。
- 運送中の揺れや衝撃に耐えられるか
- 万が一の落下に備えて梱包材の強度は十分か
- 製品の急所(弱い部分)が考慮されているか
などの観点から、隙間に緩衝材を詰めたり、可動部をバンドで縛ったりしていきますよ。
送り状の出力
客先住所など送り先の情報が記載された帳票類(送り状)を作成します。
事務方で作成した送り状を配送現場にて該当する出荷物に貼り付けていきますよ。
貼り間違いや記載ミスがないように、よく現物と照合しながらの的確な作業が求められるでしょう。
出荷
製品を輸送するトラックの誘導を行い、運送業者へ製品を引き渡します。
トラックへの詰め込みは、ドライバーと相談した上で行い、安全かつ確実に行っていきましょう。
輸送時の注意事項などあれば、ドライバーへの伝言するのも役割の1つです。
また、重量物はフォークリフトやクレーンを利用していきますので、免許を所持している作業者に限定されますよ。
配送のお悩みあるある
配送センターで行われる出荷作業の内容について紹介していきました。
やっていることは非常にシンプルですが、従業員の教育や業務の仕組みを疎かにしていると、すぐに市場クレームを招いてしまう危険な工程でもあるんです。
では出荷管理の人たちはどんなことに悩まされているのでしょうか…
ここでは、出荷管理部門が抱え込みやすい悩みや課題を5つ取り上げます。
課題を把握して、仕事の難易度や職場環境のイメージをもう少し深堀してみましょう。
品違い
品違いとは出荷品の中身が客先が頼んだものと異なるケースです。
発生させてしまう要因は様々で、
- 商品を管理する棚の中身が混在(入庫ミス)
- ピッキング時に似ている型式名や形状の商品を選んでしまった(出庫ミス)
- 送り先を間違えた(送り状記載ミス・送り状貼り間違い)
などが考えられます。
バーコードやQRコードを活用したシステム的な照合が効果的と言えるでしょう。
出荷漏れ
出荷漏れとは、客先へ出荷物が送られていない、または商品の一部がないことです。
- 配送への入庫時点で付属品が用意されていなかった
- 送り状が用意されていないかった
- ダンボールが出荷エリアで置き去りにされていた
以上のような業務ミスは、出荷漏れにつながってしまいます。
また、受注された商品が1式でも梱包数が1箱とは限りません。
その日の出荷が終わったにも関わらず、配送エリアにとり残されたダンボールを発見した時の絶望感はヤバいですね。
伝達ミス
「この案件ちょっと問題が発覚したから一旦回収させて!」
「この案件の一部は後日渡すね」
このような前工程からの急な依頼やイレギュラー案件は結構あります(結構あっては困るんですが…)。
一日に複数件の出荷対応をこなしている配送部門にとって、「この案件は…」と口頭で説明されても覚えきれませんし、情報も一部にしか共有されません。
このような伝達ミスは出荷不具合を招く危険性が非常に高いです。
出荷品を移動させるルールなどは前工程とよく話し合っておきましょう。
時間に追われる
出荷は工程内の最後に位置する作業です。
そのため、各工程内で発生した遅延の影響を受けやすいポジションとも言えます。
とは言え、出荷日は待ってくれません。
トラックドライバーを待たせるわけにもいかないので、出荷物を受け取ったらすぐに渡せるような出荷対応が求めらるでしょう。
焦って確認作業を怠ったり、手順を無視して業務を進めてしまうのは厳禁。
梱包形態の問い合わせ
「どの箱に何をいれましたか?」
「○○が見つからないのですが…」
「サイズと重量ってどのくらいでした?」
このように、出荷後に客先や現地のスタッフから問い合わせが来るので、ある程度こちらで情報を残しておかなければなりません。
また、出荷物が輸送中に迷子になってしまうケースがあります。
特に出荷先が海外だと、空港にて出荷物の中身をチェックされる場合があり、いろいろ面倒です。
出荷実績や写真など、後からでも出荷物の情報が追えるような対策も必要となるでしょう。
まとめ
工場の出荷作業について簡単に紹介していきました。
物流倉庫絡みの求人は年々増加傾向で、人気の職種となっております。
出荷作業は限られた時間の中で、迅速かつ手順に従った業務遂行が求められるでしょう。
出荷ミスを連発させてしまう工場ほど、ミスを犯した従業員個人の問題と捉えて指導する傾向がありますね…
出荷ミスの再発防止対策は、「人を変える」とか「再教育」ではなく、出荷作業の仕組みについての見直しがめちゃくちゃ重要です。
現場の管理者や社員は、配送業務の仕組みづくりを率先していくことが役割と言えるでしょう。
ITツールなどを導入して、作業の自動化もぜひ検討してみてくださいね。
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